旅行会社から要望続出、新たな資格案も-通訳案内士検討会

  • 2015年2月17日

▽「訪日旅行管理士」や期間限定通訳案内士など-新たな資格案

 日本旅行で国際旅行事業部本部海外営業部長を務める三好一弘氏も、高い能力を持つ通訳案内士の少なさと、能力向上の難しさを強調。資格更新制度の導入や、公的機関からの助成を含めた教育制度の充実などを要望した。そのほか、就労日数や客観的評価などに応じた表彰制度やランキング制度の導入、各分野の知識や経験に秀でた「マイスター制度」の創設なども提案した。

 試験の問題については、内容が現実の業務に則しておらず、東南アジアからの旅行者などが求める最新の流行情報や、ホスピタリティなどに対応できていないことを指摘。このことを受け、歴史や文化などの知識レベルは低くても、一定の知識や語学レベル、ホスピタリティ、旅程管理能力を有する者に対して新たな資格区分を設け、「訪日旅行管理士」などの名称で認めることを提案した。そのほか、インドネシア語やベトナム語など、現行制度の対象外となっている言語についても、今後は対応が必要とした。

 ハナツアージャパン経営支援本部マーケティングチーム次長の李珉周(イ・ミンジュ)氏は、同社の事業の柱となっている韓国人旅行者の受け入れに際して、日本国内における情報の少なさなどから通訳案内士が確保できず、韓国在住の通訳案内士を帯同させている現況について説明。外国人受験者に配慮した一部試験科目の難易度の引き下げや、海外での試験開催地の拡大、試験回数の増加などを希望し、「誰もが簡単で試験を受けられるような環境を」と呼びかけた。

 日観振で観光ボランティアガイド支援事業を担当する、事業推進本部観光地域づくり・人材育成担当部長の斎川昭雄氏は、観光ボランティアガイドの現況について報告。組織数や人数などは増加傾向にあるものの、そのうち訪日外国人旅行者に対応している組織は15%程度にとどまり、言語もほぼ英語のみにしか対応できていない状況について説明した。

 通訳案内士については資格保持者の4分の3が稼働していないことを問題視し、休眠中の通訳案内士が副業として活動できるよう、プラットフォームとなるウェブサイトを開設することを要望。また、2020年の東京オリンピック開催などへの対応として、研修を受講した観光ボランティアガイドなどに、期間限定で有償によるガイド活動を可能にする資格を付与することも提案。期間終了後には通訳案内士試験の受験を促し、プロフェッショナルを育成したいとした。

 次回会合は3月6日に開催する予定。東京都や京都市、和歌山県、訪日外国人旅行者向けの観光ガイド事業を手がけるトラベリエンスから意見を聴取する。