ANAグ、25年度国際線売上で国内線超えへ-国内線は需給適合深化
▽国内線で新しい需給適合策、新機材15機発注も
国内線については、25年度時点では「既存需要の格段の拡大が見込めない中、マーケットシェアの維持と徹底した効率化をはかっていく」(長峯氏)方針。15年度から開始予定の新施策「ピタッとフリート」のさらなる深化で収益拡大をはかる。
ピタッとフリートは、国内線の保有機材にあえて余裕を持たせ、高需要期にはボーイングB777型機など退役を控えて機材費がかからない大型機を、低需要期にはエアバスA320型機、ボーイングB737型機など小型機を最大限活用するもの。高需要期の需要の更なる積み増しと、低需要期の効率的な機材運航による搭乗率の向上をめざす。国内線の収益性の向上と、首都圏の発着枠増枠に柔軟に対応できる力の確保をはかる考えだ。
ANAHDでは1月30日の取締役会で新機材15機の発注を決議。今回が初導入となるボーイングB787-10型機3機と、B737-800型機5機、エアバスA321neo型機4機、A321ceo型機3機の4機種が対象で、2015年度から2021年度にかけて国内線に順次導入する。長峯氏は15機が揃った時点で「年間最大90億円の収支改善をはかっていく」と意欲を示した。運航コストの削減で費用を50億円減らすとともに、需要の摘み取りで40億円の収入増をねらう。
なお、保有機材数は今回の15機の増加により、2015年度期初見通しで約250機となる見込み。このうち国内線は58%、国際線は30%、LCCブランド計は8%。2020年期末のイメージでは合計305機で、国内線が45%から50%、国際線が30%から35%、LCCは10%から15%とした。
このほか、25年度の事業モデルでは、国際線、国内線、貨物に加え、第4のコア事業としてLCC、第5のコア事業として、航空関連、商社、旅行事業などの「ノンエアライン事業」を据える。事業規模は、現在の売上高の89%が航空事業、11%がノンエアライン事業だが、25年度はノンエアライン事業が約15%を占める予想だ。
LCC事業についてはバニラエア(JW)の15年度中の黒字化に向けた事業を進めているところ。当初は15年時点の保有機材数は10機の予定だったが、今回の中計の見直しでは8機にとどめて機材稼働率を高め、収益改善をはかるよう方針を転換した。
ノンエアライン事業については、16年度までの中計でも強化していく考え。なかでも旅行事業では「ANAワンダーアース」などの高付加価値商品の拡大による富裕層の獲得に取り組んでいく。また、国際線ネットワーク拡充に合わせ、日本人に加え訪日外客の需要を見据えた商品ラインナップの拡充をはかる。エイチ・アイ・エス(HIS)との共同出資会社「HAnavi」では事業安定化と新たな展開を検討していく。
なお、16年度の目標は前回発表を据え置くが、燃油費の下落によるさらなる収益拡大も期待できることから、当初目標以上の達成をめざす。また、コスト構造改革については、2014年度までに実現予定の865億円のコスト削減に加え、15年、16年度にそれぞれ250億円のコスト削減をはかる。これにより、ユニットコストで1.5円相当が低減できるという。