今後50年の旅行の姿、生き残りのキーワード-JATA経営フォーラム

  • 2014年3月25日

50年後も人の「気持ち」は変わらない
環境変化に対応し、新しい価値創造を

クラブツーリズムの手塚秀一氏

 クラブツーリズム営業本部海外旅行部長の手塚秀一氏も独自の展望の中で、技術革新に伴う旅行スタイルの変化を予想。移動時間が短縮することで「旅行日数は短期化し、現地を訪れる目的よりも目的重視の滞在が増え、現地でテーマを満喫することが今以上に主体になる」と見る。

 また、ITの進歩で言語の壁がなくなる上、日本の少子高齢化で移民を受け入れなくては財政が成り立たなくなるような状況になれば、文化的な境も薄くなるとの可能性も提示。さらに海外への業務渡航も頻繁になり、AR(拡張現実)技術の進歩でよりリアルなバーチャル体験ができるようになると、海外旅行が珍しくなくなり、現在のSITも特別なものでなくなると指摘する。


変化は需要と市場の創出に繋がる
「価値創造」のためのデジタルシフト急げ

航空経営研究所の牛場春夫氏

 ただし、手塚氏は自身が展望した変化が訪れても、人の気持ちは50年後も変わらないものであると強調。「事前の期待をはるかに超えた時に湧き上がる感動、未知の場所に行く時のわくわく感は、ITがどんなに発達しても変わらない。AR技術の進化でSITエリアが珍しいものでなくなっても、旅行者がすべての場所を実際に訪れることができるわけではない」とその理由を説明した。また手塚氏は、旅行スタイルと人の関心の変化は「新需要と市場の創出が見込まれる」とも指摘。「旅行会社として新しい価値を創造することが必要不可欠になる」と語った。

 「価値創造」については、牛場氏も50年後に生き残る旅行会社のキーワードとして提示。「予約・発券・手配業務などトランザクション業務は機械化されるため、機械ができないバリューを生むことに尽きる」という。そのキーワードは「パーソナル」だと提言した。

 グーグルの陳内氏は旅行会社が変化に適用するために、「デジタルシフト」と「意思決定の迅速化」の一刻も早い対応を呼びかけた。そのために必要なのはオンラインの裏にあるデータを紐解き、推進するためのデジタルマーケティング部門と、その責任を明確化するモバイル担当役員の設置だ。技術革新がもたらす変化に対応した上で、顧客理解とホスピタリティを高めていくことがますます重要になると語った。