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トップインタビュー:ピーチ代表取締役CEOの井上慎一氏

潜在需要の開拓順調
まずは「LCCとして一人前」めざす

-就航以来の実績とその評価は

関空のMM国内線出発ロビー

井上 最初の5ヶ月間で搭乗率は約75%で、定刻の15分以内に到着した割合を示す定時運航率が約94%。また、就航率が99%であることは是非強調したい。100便に1便しか欠航していない。搭乗者数は国内線、国際線合わせて45万人。

 評価としてはある程度満足している。ある程度、というのは準備期間が非常に短かったためだ。会社設立が2011年の2月10日で、初便就航が翌年の3月1日。しかも、通常の新規航空会社が就航する際には1地点2往復程度だが、MMは2地点で7往復した。挑戦的ではあったが、短い準備期間でここまでやってこれたというのはまずまず評価できるかなと思う。

 現在は、2割から3割が新規需要だと思われる。例えば、機内にトイレがあるのを知らない、頭上に荷物を入れるスペースがあることを知らない、シートベルトの締め方が分からないなど、明らかに初めてのお客様がいらっしゃる。

 また、試しに韓国の日帰り運賃を設定したところ、メインのターゲットである20代、30代ではなく、普通の旅行ではさほど動かない40歳から44歳の女性の反響が最も大きかった。この点も新しい需要を開拓できている証明になるのではないか。今後も様々な運賃を設定して需要を開拓していきたい。


-顧客層についてお教え下さい

井上 顧客層は、ねらい通り20代前半から30代前半の女性が最も多く、グループ旅行で利用していただいているようだ。旅客数全体に占める女性の割合は51%。残りの49%が男性だが、そのうちのかなりの人数がお母さんが連れてきた男の子で、成人男性の比率はもっと少ない。全日空の場合は7割が男性であり、女性の多さが理解していただけるだろう。

 このことから考えても、懸念されていたカニバリゼーションもゼロではなくても、深刻なレベルでは起きていないとおもわれる。カニバリゼーションが起きていれば機内は同じような光景になるはずだが、どう考えても全日空に乗られて旅行されないような方がたくさんいる。MMの機内ではビジネスマンは1割未満であり、そもそも成人男性が少ない。

 利用のされ方としては、お母さんが子どもと一緒に単身赴任のお父さんを訪ねる、あるいは里帰り、法事、介護など、いわゆる「VFR(Visit Friends and Relatives)」が多い。

 なお、アウトとインの比率は半々程度。日本発では関西のほか、九州、山陰の方にも利用いただいている。