羽田発着枠配分に各社要望-吉田副大臣「地方側の努力、提案求める」

  • 2012年8月23日

▽地方ネットワークと需要創出

 日本航空(JL)はJLの国内線ネットワークが経営破綻後に縮小した現在も、ローカル路線や低需要路線を含め、国内6社で最大であることを説明。また、今後の国内航空需要には「訪日需要を取り込むことが重要」(JL執行役員・路線統括本部路線計画担当)とした上で、内際乗継を考慮した羽田/松山(愛媛)線と羽田/台北線により松山(愛媛)/台北間の需要が47%増加した実績を提示。「ローカル線のバラエティが寄与し、アジアの成長を地方に届けることができる」として、国際線との連携を考慮に入れた配分を要望した。

 全日空(NH)は重点課題の1つとして「多様なネットワークの構築促進」をあげ、「実績評価に応じた戦略的な発着枠の配分とし、さらなるネットワーク構築のインセンティブとすべき」(NH上席執行役員企画室長・清水信三氏)との考えを示した。また、「1便・3便ルール」については対象が「ナショナルミニマムの観点で必要不可欠な地方路線」としつつも、「多くは赤字。対象路線を自助努力で運航する航空会社への優先配分を組み合わせ、路線維持のインセンティブを働かせることが必要」と主張した。

 一方、スカイマーク(BC)は、BCの参入による市場創出効果を強調。2005年3月期と12年3月期で国内線旅客数を比較すると、航空市場全体で15.7%増と伸びているのに対し、BCは117.7%増と大幅に増加。また、茨城空港は2011年は23万人強の利用者数を獲得したが、近隣空港の利用者数に変化はなかった。これらのことから「BCに羽田の枠を与えることで日本の航空市場が大きく発展する」(BC常務取締役・有森正和氏)とアピール。「航空ネットワーク拡充、市場創出効果のある航空会社に配分すべき」と主張した。

 このほか、地方公共団体・空港を代表して、全国空港建設整備促進協議会(全空協)も意見を述べ、「羽田の国内線増枠はこれが最後。地方としては羽田と直接結ばれることを渇望している」(同協議会事務局/静岡県文化・観光部理事・空港振興担当・服部真樹氏)と地方の立場を主張。地方路線への優先配分を強く求めた。その手法として「地方活性化枠の設定」、低需要路線や地方間路線の運航といった「評価項目の充実」、「1便・3便ルールの継続」などをあげた。


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