垣根を超えてマルチに働く環境づくりを-リーガロイヤルホテル(大阪)総支配人 中川智子氏
グループ旗艦ホテル初の女性総支配人として
女性の活躍と離職率の低下を目指す
リーガロイヤルホテルグループの旗艦ホテルである大阪のリーガロイヤルホテル初の女性総支配人となった中川智子氏。4月の就任から着々と、女性の活躍、離職率低下、マルチタスク化に取り組み、働きやすい環境を整えている。万博やIRなど大阪のホテル競争激化を睨み、87年の伝統を守りながら革新を進める同ホテルと自身のキャリアについて聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
中川智子氏(以下敬称略) 大阪のリーガロイヤルホテルはグループの旗艦ホテルで、1935年に大阪政財界の「賓客のための近代的ホテルを大阪に」という要望から生まれたホテルです。客室数は1039室、レストランとバーは18店舗を抱え、宴会場は56あり、大きなコンベンションから製薬会社のweb講演会まで引き受けています。地下には「パレロイヤル」というショッピングアーケードがあったり、「エコールドロイヤル」という文化教室を運営しているのも特徴的です。私自身大阪生まれで、ハレの機会に両親に食事に連れてきてもらうのが楽しみでした。3世代にわたって結婚式を挙げてくださるお客様もいる。そんなホテルは他にはないと思っています。
中川 都市センターホテル、リーガロイヤルホテル東京を経て、今回3回目の総支配人となりますが、グループの旗艦ホテルに任命いただいたのは背筋が伸びる思いです。2000名規模の宴会場を持ち、関西の経済界トップの方が集う宴席が日々あるホテルで、女性で務まるのかという不安は正直ありましたが、就任後ご挨拶した企業トップの方々に、「リーガロイヤルホテルにも新しい風が来たね、頑張りなさい」と背中を押してもらい、頑張ろうと思えるようになりました。
中川 いま、女性活躍推進の流れがあり、2025年の大阪万博に向けて企業がジェンダーにどうアプローチしていくのかが注目されています。当社は2013年から女性が働きやすい環境づくりに取り組み、育休や時短勤務の制度も充実していますが、現状の女性ライン管理職は9.6%ほど。部長職は不在で、課長も少ない。ロールモデルが身近におらず、尻込みしている女性がたくさんいます。
私が総支配人になった1つのミッションは、女性も男性も関係なく働きやすい環境を作ること、有能な女性が離脱することなく、上を目指せる会社にしていくことだと思っています。「私もチャレンジした、だからあなたたちも上を目指してみたら」と、やる気のある若いスタッフたちに方向づけをするために選ばれたんだろうと。私が入社して育ったホテルで総支配人になったことで、日本のホテルは外資系とは違う動き方があることもわかってもらいたいです。
中川 家族の理解と協力があったことが大きかったです。夫とは社内結婚で業務もよく理解してくれましたし、父母が子供を見てくれるなど家族全員が応援してくれました。母の介護の問題もありましたが、現在は息子が見てくれています。スタッフにこういう話をすると、「総支配人は特別です」と言われることがありますが、家族に相談したかと聞くと、多分できないと相談する前に自分で結論を出してしまっている場合が多い。どこまで家族が許して、協力してくれるか、家族で話すべきだと伝えています。
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