垣根を超えてマルチに働く環境づくりを-リーガロイヤルホテル(大阪)総支配人 中川智子氏

  • 2022年6月21日

グループ旗艦ホテル初の女性総支配人として
女性の活躍と離職率の低下を目指す

-何が仕事のモチベーションになったのでしょうか。

中川 入社後、フロントに配属され、1年半後には希望してコンシェルジュに異動しました。毎日が新しいことへのチャレンジで楽しく過ごしていた1年半後、突然営業担当になりました。毎年来られるアメリカ人のバイヤーの方にそれを話すと、「セールスは花形なんだよ、そこに抜擢されたんだから胸を張りなさい」と言われ、前向きになれた気がします。その後も色々な方との出会いがあり、「中川さんいるからリーガロイヤルホテルを使っている」と言っていただけるようにもなりました。

 こうした人と人との繋がりの面白さはホテルマンの醍醐味です。若いスタッフには、お客様との出会いは、違う部署に移ったら切れるように思えても、必ずまた繋がっていくのだと伝えています。

-コロナ禍で変えたことはありますか。

中川 研ぎ澄ましていくべきものを、より研ぎ澄ましていこうと思っています。ホテル内のフレンチ「レストラン シャンボール」は、時代の流れとともに席数を増やし、単価を落とし、サービスが落ちたと言われました。そこで4月からグランメゾンを復活させるべく、60席ほどあった座席を24席に絞り、食前酒とカナッペを召しあがれるサロンスペースを作りました。レストランコンクール「メートル・ド・セルヴィス杯」で日本一になったマネージャーを据え、リーガロイヤルホテルの伝統を継承しながら、メニューに新しい風を吹き入れたいと考えています。また、スタッフがここでサービスすることを目標にする店にもしていきたいです。秋口には「イタリアンレストラン ベラ コスタ」も新しい仕掛けで生まれ変わる予定です。

 また、縦割りでセクショナリズムがあった組織をマルチタスク化しようとしています。例えばレストランが忙しいときは、他部署でレストランサービスができるスタッフが応援に行くなど、全員で乗り切ろうと考えています。現在、「大阪いらっしゃいキャンペーン」で金・土曜のチェックインが増えていますが、チェックインは宿泊部が担当し、ワクチン接種証明の確認等は他部署が応援に行き、特定の部署だけが忙しくならないようにしています。

-様々な業務を経験することで気づきもありますね。

中川 新しい業務をやってみたいという要望も出てきますし、それで異動になった人たちは元の部署に応援に行ける体制にしています。会議でも活発に意見が出るようになりましたし、宿泊プランの会議には料飲部長も参加するようになりました。互いの仕事を知ることで各部署が活性化して、総合的に売上が伸びることが一番です。

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