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旅行商品の主語は「旅行者」ですか?あるいは「旅行会社」ですか?-RT Collection 柴田真人氏

  • 2022年6月17日

 第18回目のコラムは、旅行商品の主語は「旅行者」ですか?あるいは「旅行会社」ですか?というテーマで書いてみたいと思います。

旅行もようやく活発に

 ここ1か月ほどを振り返ると目に見えて旅行者が活発になってきましたね。先日、楽天スーパーセールがありましたが、楽天トラベル内のホテル宿泊プランの検索がセール開始後、3時間以上もアクセスが困難でした。旅行を検討している人や実際に予約をしている人が多くなってきているのがよくわかります。先日参加した海外のオンラインツアーも400名程の参加者がいて、とても賑わっていました。

 東京駅へ足を運んでみるとスーツケースを持った旅行者の行き交う姿をたくさん見ますし、添乗員付きの団体ツアー客を見ることもあります。添乗員さんがツアーの旗を持って歩いている姿は懐かしくも感じました。また、インバウンドに関しても都内では外国人観光客を街中で見掛けるようになりました。おそらくビジネスビザで入国して観光をしている旅行者だと思いますが(コラム執筆時は6月上旬)、日本は訪日外国人旅行者にとって1日でも早く訪れたいデスティネーションということを改めて感じました。

 一方、この1か月で旅行会社を訪問する機会も増え、予想以上に人員減になっている旅行会社が多くありました。以前の半分の人員、さらに1/4の人員のところもあります。また、社員の出向が続いているところもありますし、旅行業の回復を待たずに全く別の事業を進めている会社も多々あります。人員削減の中、すでに夏や秋以降の需要回復を見込んでツアー造成に追われている会社もありました。今後、水際対策の規制緩和により、日本人旅行者の海外旅行や外国人旅行者の訪日旅行の対応に急にスイッチが入るタイミングが来ると思いますが、その時に直面するマンパワー不足がとても心配になりました。

旅行の選択肢に旅行会社がない時代

 さて、本題に移ります。旅行会社の募集型企画旅行のパッケージツアーの取扱額および取扱人数が年々減っているのはなぜかという問いに対して、真剣に向き合っていきたいですね。このコロナ禍の出口が見えてきた今のタイミングが、この問いに対してしっかりと向き合う良い機会になりますし、いろいろリセットするにも良い機会になるのではと思っています。

 パッケージツアーの取扱額や取扱人数が年々減っている背景としては、旅行会社を使わない旅慣れた旅行者が増えたことやOTAなどを利用した自己手配をする人が増えたことで旅行会社離れが進んだのもありますし、旅行商品が代り映えしないことやトラベルコンサルタントの知識不足などもあります。企画担当者によっては現地のランドオペレーターに丸投げということもあります。さらにロイヤリティプログラムのポイント制度やOTAのWEBマーケティング施策なども影響しています。このように様々な要因があると思われます。

 また、先日、Twitterで旅行の予約はどこでするかというアンケートをしているユーザーがいましたが、4つの選択肢の中に「旅行会社」はありませんでした。選択肢の数が関係して「旅行会社」が含まれなかった可能性もありますが、旅行予約の選択肢の4番目にすら「旅行会社」が入っていないという事実はとても衝撃でした。そこまで旅行会社の立ち位置は揺らいでいるのかと感じたほどです。

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