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旅行会社は旅行情報をどこまで掲載するべきか?-RT Collection 柴田真人氏

  • 2022年5月26日

旅行者が実際に求めている情報は?

 結果として旅行会社に予約がされれば良いですが、この流れは旅行会社とっては良くないと思っていて、ホームページから一時離脱されるのもありますし、旅行商品を構成するパーツに関しての情報が足りていないということにもなるためです。旅行者目線で考えてみると、情報の少ない旅行会社のウェブサイトを見ると「旅行をお願いして大丈夫だろうか」「この旅行会社は詳しいのだろうか」というような気持ちに少なからずなります。OTAでホテルを予約する時も同じで、OTAに掲載されている宿泊施設の情報が足りず、予約前にホテル公式ホームページを確認したり、個人ブログの体験記や宿泊記を確認することがあります。

 宿泊施設の例で言うと、旅行会社が掲載する情報は一般的に客室のアメニティやホテルのサービス、施設の有無、施設の名前、営業時間、空港からの距離などが多いように思います。実際に旅行者が個人ブログの宿泊記などで探す情報は客室の水回りのレイアウトや朝食のビュッフェライン、朝食のおすすめメニュー、アメニティのブランド、アメニティの容器、ルームウェアのタイプ、客室に備え付けのコーヒーや紅茶のブランド、ラウンジでの軽食やドリンクの内容というように旅行会社が一般的に掲載している情報とは一致していないのがわかります。旅行会社のウェブサイト内にあるホテル紹介ページでは探していた情報がなく、スタッフの旅日記や旅行記などのページがある場合にそのページビューが多いのはそのためだと思われます。

 Googleの検索キーワードでも「ホテル名+宿泊記」や「ホテル名+ブログ」で頻繁に検索され、「ホテル名+朝食」や「ホテル名+ラウンジ」についても検索ボリュームがとても多いです。また、ホテルのランクが上がれば「ホテル名+バスローブ」や「ホテル名+バスソルト」、「ホテル名+紅茶」、「ホテル名+化粧水」などの検索ボリュームもあるほどです。

 このように旅行会社が掲載すべき情報は、旅行者が実際に探している情報まで掲載すべきだと考えています。掲載する情報が多くなるとメンテナンスが大変になり、情報が古いままでアップデートが追い付かないということはありますが、旅行者がいろんなプラットフォームを通して旅行の手配ができる今、旅行会社が選ばれるにはやるしかないのではと思いますし、旅行会社よりも個人ブログの方が掲載されている情報が充実している状況は、変えていかなければならないのではと思います。

柴田 真人 / Masato SHIBATA
大学生時代にオーストラリアのタスマニア島で過ごし、旅行会社に就職。15年間の旅行会社勤務時代には主に東南アジア方面の仕入れや企画に従事。また、フィリピンでの5年7ヵ月間の海外赴任を通して、アウトソーシング事業の立ち上げからインバウンド事業における現地支店の立ち上げ及び日本マーケット初のチャーター便運航のプロジェクトなどを経験。その後、2018年に合同会社 RT Collectionを設立。