【ホテル総支配人リレーインタビュー】第14回 HOTEL THE MITSUI KYOTO 総支配人 楠井学氏
開業1年半でフォーブス5ツ星を獲得
目指すリラックス・ラグジュアリーとは
楠井 ビジネス面はもちろんチャレンジングな1年でしたが、一歩一歩しっかりと成長できたと感じています。今年は去年の同時期と比べて明らかに状況は良くなっています。新ホテルとして固定客がいない状況からのスタートでしたが、徐々にお客様が定着しています。宿泊に関しては平日と週末の差がまだ大きいのですが、レストランについては平日でも多くのお客様にお越しいただいています。
楠井 なかなかイメージするのは困難ですが、しっかりと地に足を着けてさらなる成長の年にしたいと考えています。フォーブスの評価がまぐれだったと思われぬよう、5ツ星としての評価を定着させていきます。また次のチャレンジは国境が開いた後のインバウンドへの対応です。海外からのお客様がいらした際のサービスは従業員がほぼ未経験。ですから教育とトレーニングに時間を割いています。特に英語での対応や外国人客対象の接客方法には力を入れています。
今後は「京都で泊まるならHOTEL THE MITSUI KYOTOだよね」と言ってもらえるホテルを実現していくつもりです。外資系、そして歴史ある日本のそうそうたるブランドが数多くあるなかで僭越ではあるのですが、さらなる高みを目指す思いは持ち続けていくつもりです。
楠井 どの国に対して国境が開かれるのか、どの国の旅行者が海外旅行をしやすいのかにかかってきます。欧米も中心の1つになるでしょうが、アジアがどこまで伸びるかにも注目しています。どこから先に戻って来るかによってホテルの対応の仕方の調整も必要となるかもしれません。重要なことはいかに柔軟性を持ってビジネスができるかです。
またインバウンドについてはマリオットのフランチャイズとしてラグジュアリーコレクションに名を連ねているので、リワード会員制度の「マリオット・ボンヴォイ」もインバウンド獲得を後押ししてくれると期待しています。
楠井 最近気になっているのが、ホテルマン、ホテルウーマンのホスピタリティ産業離れです。そうしたなかでこの産業に興味を持って入ってきてくれた人たちを大切にし、しっかりと大事に育てていくことが必要だと思っています。とある専門学校さんの話を聞くと、これまで1クラス40名ほどだった新入生が1桁台まで落ち込んでいるそうで、衝撃を受けました。
楠井 コロナ禍の観光産業に賭けるのを避けたい親御さんの気持ちも分かりますので、それだけに業界入りを決断してくれた人材は大事にしていきたいですね。
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