【ホテル総支配人リレーインタビュー】第14回 HOTEL THE MITSUI KYOTO 総支配人 楠井学氏

  • 2022年5月10日

開業1年半でフォーブス5ツ星を獲得
目指すリラックス・ラグジュアリーとは

 第13回の富士スピードウェイホテルの吉川源太総支配人からバトンを渡されたのは、HOTEL THE MITSUI KYOTO総支配人の楠井学氏。同ホテルはこのほど米国の旅行誌『フォーブス・トラベルガイド』の22年度版で最高評価の5ツ星ラグジュアリーホテルに認定された。日本のホテルとして初めて開業初年度における審査で5ツ星獲得という快挙を成し遂げた舞台裏に迫った。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

楠井氏

-まずはHOTEL THE MITSUI KYOTOの概要説明と自己紹介をお願いいたします。

楠井学氏(以下敬称略) HOTEL THE MITSUI KYOTOは2020年11月に開業し1年半が経ちました。ホテルの最大の特徴でありユニークな点は、江戸時代から250年以上にわたって三井総領家の邸宅があったゆかりの場所に、HOTEL THE MITSUIというブランドが開業したことです。まったくの新ブランドで、認知度も何もないところから立ち上げました。しかしこの1年半、ラグジュアリーホテルとしての成長を1日、1日しっかりと積み上げてこられたと感じています。

 私自身はこれまで外資系ホテルで経験を積み重ねてきましたが、日本発の新ブランドを立ち上げ世界に向けて発信する仕事に強く惹かれていますし、開業後の日々を本当に楽しく幸せに感じています。

 特に私のホテル人生でも最上級に嬉しかったのが『フォーブス・トラベルガイド』の22年度版で最高評価の5ツ星ラグジュアリーホテルに認定されたことです。ラグジュアリーホテルとして最も認知度が高い評価でもあるフォーブス5ツ星ホテルの仲間入りをいち早く達成できたことは、総支配人として、チームを大変誇りに思います。開業前からラグジュアリーホテルを目指すと言ってきましたが、何の実績もないホテルに対して、おそらく懐疑的な見方も多かったはずです。それでもフォーブス5ツ星という評価を獲得できたことは、ホテルとして、従業員全員にとっても大きな自信になりました。

-ホテルを訪れると京都の魅力を上手に取り込んでいると感じますし、総支配人ご自身も街の文化や地元の方々との交流を楽しんでおられる印象です。

楠井 来る前は多くの方々から、「歴史ある京都という街は色々と大変かもしれないぞ」と言われましたが、実際に来て困ったり嫌な思いをしたことは全くありません。光栄なことに京都の著名な方々にも大変よくしていただいています。

-ホテルの最大の売りは何ですか。

楠井 人ですね。やはり最大の魅力は従業員であり、ここにある空間、そしてその従業員と空間が混じり合って醸し出すホテルの雰囲気、あたたかさが最大の売りだと考えています。

 さまざまな年代のお客様、そしてご夫婦や友人同士などいろいろな形態のお客様がいらっしゃいますが、どのレイヤーの方々にとっても居心地のいい場でなくてはなりません。私が開業から言っているのは「リラックス・ラグジュアリー」です。お客様がリラックスし寛いでいただける堅苦しくない雰囲気を提供し、それでいてお客様への礼儀や距離感をわきまえ、誰もが心地よく感じられるサービスを行えるホテルであろうという意味です。

次ページ >>> さらなる高みを目指して