『デジタルとリアルが融合』した旅行会社の新モデルとは?-JATA経営フォーラム
キーワードは「OMO戦略」
4つの会社分類ごとにモデル会社を設定
製販一体型旅行モデル:高付加価値な小ロット・多品種型商品の販売を
(議論参加社:クラブツーリズム、ANAX、ジャルパック、阪急交通社、読売旅行)
メディアやウェブでの集客・販売に強みがある「製販一体型旅行モデル」については、読売旅行の塚原秀尚氏がプレゼンテーションを実施。仮想旅行会社として「Q・O・Lトラベルデザインカンパニー」を設定した。最終的に旅を通じて顧客のQOL(quality of life)をデザインしたいという思いから名付けたという。
同社のターゲットはデジタルに抵抗がないZ世代からシニア層。塚原氏はターゲットの消費動向について「24時間365日いつでもどこでも手元で購買活動する」と説明し、ストレスフリーな購買システムの提供により顧客の離脱を防ぐ必要性を語った。さらに、付与されるポイントの汎用性や特典・割引なども選ばれる旅行会社になるために必要な点だとした。
提供する旅行商品は「高付加価値な小ロット多品種型商品」と説明。ターゲットが旅行に求めるものは趣味・嗜好、SIT、SDGsなどさまざまであることから、「多様なニーズに応えるためのピンポイントマッチングなコンテンツ・潜在需要のプロダクト化が、従来の旅行商品からの転換点になる」と語った。さらに、サプライヤーや自治体と協業した企画性の高い商品、ビッグデータやAIを活用した潜在的なシーズを考慮した商品、自社独自のタビナカコンテンツなども提供する考えだ。
また、同氏は顧客接点について、自社サイト・アプリに加え、SNSや旅行中の体験などが共有できるコミュニティプラットフォームの展開を提案した。同氏は「体験や映える画像などが広く共有でき、旅自慢、承認欲求を満たすことも重要。そのデータが集積されることで市場全体でパーソナルのトレンドが集まり、需要のプロダクト化、デザイン化にもつながるのでは」と話した。このほか、将来的にはメタバースを活用した仮想空間内でのアバター接客についても視野に入れるという。