【ホテル総支配人リレーインタビュー】第12回 ホテル日航福岡総支配人 大月照雄氏
地元密着と首都圏の需要獲得を強化
今年度の回復目標はコロナ前の6割
-コロナ禍の影響について、2019年との比較でご説明ください。
大月 19年度の平均客室稼働率は76%で、平均客室単価も1万9000円でした。ところが21年度は稼働率が31%、単価も1万5600円に低下。収益は19年度比で6割減です。キャンセルの取消料はありません。
-4月から始まる22年度は、どのような業績イメージですか。
大月 完全復活のイメージです。1月中にコロナ禍がほぼ収束すると期待しました。ここへきてオミクロン株が増えていますが、4月以降は国内需要が右肩上がりで回復すると見ています。その前提で19年度比で6割以上の実績を確保する計画です。5月の世界水泳の延期は残念ですが仕方ない。またコツコツ積み上げます。とにかく今年は需要が浮上する。そう社内で言っています。その時にしっかり商売できるよう、営業もサービスも準備するよう号令しています。
-コロナ禍前のインバウンド比率は?
大月 31%ほどでした。
-インバウンドに頼らず19年度比の6割を目指すには、国内市場では19年度比9割程度を目指すことになりますね。
大月 そうですね。ホテル日航福岡は首都圏の需要が大きく、宿泊需要も宴会需要も関東方面が重要です。ブライダルは地元主体ですが、学会などは関東方面が最重要。そのお客様はバンケットや飲食など収益への貢献度も高い。この2年間は宴会需要が激減しましたが、今年度はある程度収益のベースになってくれそうです。
-先ほどコンファレンス需要復活の話がありました。コロナ禍を経てハイブリッド化によるリアル需要の減少はありますか。
大月 その実感はありますし、リアルは確実に減っています。ただしそのニーズは根強く、7割か8割はリアルが残るでしょう。数日前にキャンセルになった800名規模予定の創業記念パーティーがありましたが、同じ場所に実際に集まり一緒に飲食することで元気が出るのだと、代表者は仰っていました。
-コロナ禍の前と後で販売チャネルの変化はありますか。
大月 従来型のリアルエージェント経由の予約は、絶対数も比率もかなり減りました。OTA経由の増加はコロナ禍前からの傾向ですが、需要が大きく減少した際のADR維持が大きな課題です。ホテルの直接予約は変化ありません。
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