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洋服店から街づくりへ、「商売人の妄想」から生まれた沖縄北谷町・デポアイランド

  • 2022年2月2日

民間・官民連携で成長を目指す共栄構想を

-今後の課題は何でしょうか。

奥原 北谷町の人口は2万9000人ほど。この規模ですから、沖縄の他地区はもちろん、国内観光客、インバウンドなどすべての市場から集客する必要があります。コロナ前の市場構成は国内観光客60%、インバウンド15%、地元客25%でした。アメリカンビレッジはオープン当初に若者の街として売り出したこともあり、特に県内の人には、このエリアは未だに若者が楽しむ場所だという認識が強くあります。これを解消して幅広い年代層に訪れてもらうことが最大の課題です。

 また、北谷町には住民登録している外国人が835人いるほかに、米軍に所属し住民登録をしていない軍人・軍属が推定4000人いると言われています。つまり北谷町エリアに暮らす人の17%が外国人で、それが独特の雰囲気、文化を生んでいます。彼らを顧客として取り込むことも非常に重要です。

 現在デポアイランドでは、大人が楽しめるイベントに力を入れるとともに、新たな客層にもアピールするイベントを用意するよう心掛けています。たとえば酒造メーカーの専門家の話を聞きながら泡盛を楽しむイベントや、ライブ音楽とワインを楽しむイベントなどです。午後2時から6時まで開催するのですが、ほろ酔い気分の参加者が2軒目、3軒目を求めて回遊するので、飲食店にも集客効果を還元でき、お客様からだけでなくテナントにも喜ばれています。

 アートイベントも実施しています。2018年から始めたのが「オキナワアートマーケット」。国内外のアーティストを招き展示販売を行う内容で、陶芸などのクラフト系や絵画のアーティスト、歌や楽器関連のアーティストなどが集まり盛況です。アートを持ち込むことで独特の雰囲気が生まれ、新たな客層の呼び込みに役立っています。コロナ禍で中止となった昨年を除き年1回開催してきましたが、今年度からは名称を「デポアイランド・アートディストリクト」に変更し、年2回の開催としました。次は4月に開催予定です。

-観光産業との今後の連携については、どのようにお考えですか。

奥原 他のプレイヤーと連携するには、まずは自分が強くなくてはならないと考えています。ですから商店街、エリアとして強くなる。それができたら近くの西海岸エリアと一体になって盛り上げる。そして、ゆくゆくは沖縄全体で。そう考えています。これは1店舗から始めてテナントビルの運営へ、そしてデポアイランドで街づくりへ進んで行った奥原商事の大きな流れと同じです。それぞれが強い事業者が強みを持ち寄り、奪い合いではなく皆が成果を得られる連携を実現していく。その考え方はこれからも変わりません。

-ありがとうございました。