地域に分け入るJAL社員たち ~岩手県編~

  • 2022年1月18日

三陸の水産物を高鮮度で西日本へ
縄文時代から続く漆文化を国内外に発信

産業経済交流課 地域産業課長 竹花光弘さん

産業経済交流課は、県内の地場産業の振興のため、国内外への販路開拓の支援を主な業務としています。国内には東京、大阪、福岡にアンテナショップを、海外には中国の大連市と昆明市に事務所を設置し、県内の企業や生産者の販路開拓を支援しています。私が担当する地域産業グループは、伝統工芸産業やアパレル産業の振興のほか、アンテナショップや全国各地で開催する物産展を通じた販路開拓や、物流に関する業務を担当しています。

私自身は、食産業や農林水産業の振興の業務経験が長く、東日本大震災の津波からの産業復興には最前線の現場で取り組んだ経験もあり、その中で培った知見や人脈を生かし、特に民間力を生かした産業振興に注力して取り組んでいます。

-地域の特色を教えてください。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災津波から今年で11年目を迎えます。昨年12月18日には青森県八戸市から宮城県仙台市までの三陸地域を縦断する三陸沿岸道路(高速道路)が全線開通するなど、岩手県の三陸沿岸地域の交通事情は震災前に比べ飛躍的に向上しました。特に、県の内陸部にある花巻空港から三陸沿岸市町村には高速道路でアクセスできるようになり、三陸沿岸地域の観光産業や地場産業には大きなビジネスチャンスが到来しています。

 こうしたことから当課では、JALセールスから出向いただいている佐々木邦晃セールスディレクターを中心に、JALグループと緊密に連携し、航空輸送で三陸の水産物等を高鮮度で遠隔地に流通させる新たな市場開拓の取り組みを開始しました。

-地域が抱える課題や目標、それに対する取り組みについて教えてください。またその課題のなかで、JALからの出向者の方に期待することは何でしょうか。

 三陸沿岸では近年不漁が続いており、特に主要魚種のサケやサンマ、イカの水揚量は最盛期の2割にも満たない状況が続いています。本県の水産業は安くて豊富な漁業資源を背景に発展してきましたが、震災後は主要魚種の不漁と人口減少による労働力不足により大きな転換を求められています。

 そこで現在、いわて花巻空港からの定期便を運航するジェイエアの全面協力の下、当日水揚した水産物や作りたての水産加工品を高鮮度で西日本のお客様にお届けするサプライチェーンの構築に挑戦しています。この取り組みは開始直後からマスコミの関心も高く、大きな注目のなかでスタートしましたが、JALからの出向者が産地とJALグループとの架け橋として機能することではじめて実現できた画期的な取り組みであると考えています。

 今後、各地で活躍するJAL社員の皆様の働きかけで、全国の多くの自治体がこの取り組みに参画し、空港には全国から採れたての水産物などの魅力ある商材が集まり、そこで新たなマーケットが生まれる素敵な未来を期待しています。本県は微力ながらその先駆けとなるよう取り組んでいきたいと思っています。