地域に分け入るJAL社員たち ~岩手県編~

  • 2022年1月18日

三陸の水産物を高鮮度で西日本へ
縄文時代から続く漆文化を国内外に発信

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 第4回は、岩手県商工労働観光部の産業経済交流課で県産品の販路拡大に奮闘する佐々木邦晃さんと、課長の竹花光弘さんに話を聞いた。

「盛岡さんさ踊り」2020年、2021年はコロナ禍により中止

岩手県 商工労働観光部

産業経済交流課 セールスディレクター 佐々木邦晃さん

1996年にJALセールスの前身である日本エアシステム(JAS)グループの旅行会社に入社し、札幌支店で法人セールスや添乗員などを経験。その後JAL・JASが統合し、今のJALセールスの所属となりました。これまでに故郷の旭川や本社のある天王洲、ひがし北海道の釧路支店に勤務し、旅行会社や法人セールスのほか、国内団体予約での北海道路線のコントロールや、社員教育部門である「意識改革・人づくり推進部」でフィロソフィ教育のファシリテーターなども務めました。前任地の釧路支店では観光立国ショーケース実現のため、地域と連携してインバウンド誘致に力を入れました。

現在は岩手県商工労働観光部産業経済交流課にて、県産品の販路拡大を目指し、JALグループのジェイエアが大阪国際空港で実施している「ITAMI空の市」などと連携して県内事業者や生産者と共に航空貨物を活用した物流事業に取り組んでいます。

-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 産業経済交流課で伝統工芸や食について学び、工芸品が県民の生活に馴染んでいることを知りました。飲食の際は「MY漆器」を持ち歩き、岩手の地酒を楽しみ、日常生活でも南部鉄器でお湯を沸かし、漆器でお茶を飲むなど、生活に伝統工芸品を使う文化が根付いているようです。私も漆器や鉄器を購入し、毎日の生活を岩手の工芸品とともに楽しんでいます。

 おすすめの観光素材はやはり三陸沿岸地区ですね! 2021年12月18日に復興道路が全面開通したことで、宮古のホタテやヤギミルクに浄土ヶ浜、山田町の赤皿貝や牡蠣、オランダ島や三陸鉄道など、様々な食や観光地を効率よく周ることができるようになりました。是非、三陸沿岸の様々な食材と美しいリアス式海岸を堪能しに来ていただきたいですし、旅行商品造成に役立てていただきたいと思います。

佐々木さん愛用の鉄器や漆器

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 コロナ禍で旅客需要が減少していた2020年、JALグループでは新たな貨物需要の取り込みや地域課題の解決による観光需要の回復が必要とされていました。また岩手県でも2021年が震災復興10年を迎える年であり、復興道路の有効活用や沿岸漁業者の需要回復などを目指していました。

 そこで、航空貨物を活用した県産品販路拡大支援のため、三陸沿岸から鮮魚を中心とした高鮮度食材(朝獲れ鮮魚など)をオンライン路線である伊丹や福岡へ運ぶ事業計画を策定し、2021年12月より「岩手三陸高鮮度物流実証実験」を開始しました。この実証実験ではジェイエアに協力してもらい、大阪国際空港や難波の飲食店へのサンプル鮮魚輸送、「岩手フェア」の開催による「岩手三陸盛り」の提供、大阪国際空港「ITAMI空の市」での鮮魚販売などを実施し、大変好評をいただきました。

 県庁内の各組織や県内事業者、生産者と連携を取り、これを継続的に実践し事業者同士のマッチングをすることが地域課題の解決に繋がっていくと考えています。今後も岩手と西日本を結び県産品の販路拡大含め、地域活性化に寄与したいと思います。

「洋野うに牧場」の4年うに

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