信念をもってニッチ市場で生き抜く-LTKトラベル代表取締役社長 金井啓次氏

  • 2021年12月22日

「歩き続けてさえいれば道は拓ける」
コロナ後を見据える少数精鋭のプロ集団

-ウィズコロナ、アフターコロナ時代に生き残る旅行会社とは、どのような旅行会社でしょうか。

金井 日本の旅行市場はある意味で大手の寡占状態にあり、その下に中堅事業者がおり、さらにその下に多くの小規模事業者がいます。しかし視点を変えると、大手は大手の、中堅は中堅のポリシーがあり、彼らが手を出せないニッチ市場が必ず生まれるわけです。我々は小規模事業者として、そのニッチ市場にうまく食い込んできたと考えています。同時にそのニッチ市場における顧客ニーズにどっぷりと浸かり、顧客との関係性を築いてきたと自負もしています。ですから、それができる旅行会社は必ず生き残れると信じています。小さい会社だから駄目だといった発想ではなく、その市場にどっぷりと浸かる。それによって顧客と共存共栄の関係を築けるし、そうできた企業は生き残るというのが私の考えです。

-大手の規模ではニッチ市場に手を出しづらい。その意味では小規模事業者にもチャンスがあるということですね。

金井 はい。小規模なりの強みもありますから。私は社長の肩書ですが、要はプレーイングマネージャーです。経営も営業も全部やるのでお客様の近くにいられます。また大手のような頻繁な人事異動がなく、10年、20年かけて人間関係をしっかり固めて行ける。これは大手にない我々の強みだと感じています。

-コロナ後は旅行商材の仕入れの仕組みや習慣がどのように変わるか、変わるとしたらどう変わっていくと予想しますか。

金井 はっきりとは分かりませんが、1つ言えることは、プロテクトされる会社とプロテクトとされない会社の色分けが年々明確になってきている印象があります。現状では当社は幸いにもプロテクトしてもらえる側にいると感じており、仕入れを確保するために、その立場であり続ける努力をしなくてはならないと思っています。

-ポストコロナに向けた攻めのアクションプランがあったら教えてください。

金井 温めているアイデアは沢山あり、実現に向けた打ち合わせも進めています。詳しく言える段階ではありませんが、旅行業界だけの視点では殻が破れないと考えており、全く別業種との協業も検討しています。相手はこれまで全く関係のなかった企業でもいいし、当社にとっての顧客企業でもいい。とにかく他業界の方々と情報交換していると、私にとっては想像もつかない話が沢山あります。それをどうアレンジするかを考えている段階です。

-LTKトラベルの5年後、10年後の姿をどのように描いていますか。

金井 社長を引き受けた当初から、少数精鋭が私の持論です。会社の規模拡大はあまり念頭になく、大きな投資や大幅な人員拡大は考えていません。社員が多くてはいけない、大きな会社になってはいけないとは考えていませんが、会社を大きくしなければとも考えていません。とにかく顧客ニーズに寄り添いニーズにしっかり応えられるプロ集団を作りたいという一念です。プロだけで構成する強い組織を作り上げたうえで、5年後、10年後も社長を続けられていれば幸せなことです。

-今年を漢字一文字で表してください。

金井 私は「歩」を選びました。2021年はコロナ禍で厳しい状況を強いられましたが、そんな中でも社員と共に何とか歩んできましたし、この会社で5年後、10年後、20年後まで歩き続けたいという願いも込めました。この1年は、歩き続けてさえいれば道は拓けると周りに言い続けて何とか前に進んできました。そんな想いも込めた「歩」です。

-ありがとうございました。