超難問の旅行業務取扱管理者試験は受験生に何を期待しているのか?-RT Collection 柴田真人氏寄稿
第12回目のコラムは、旅行業の登竜門でもある「旅行業務取扱管理者」の国家試験について書いてみたいと思います。
私自身、教育事業の一環として、受験生とお話させて頂く機会がありますが、このコロナ禍により旅行業界から離れていく人がいる一方で、今から旅行業界を目指す大学生や社会人の受験生の姿には、とても嬉しく感じました。コラム執筆時には9月に実施された令和3年度の国内旅行業務取扱管理者試験の実施状況しか発表されていませんが、このコロナ禍でも受験者数は1万569人となり、令和2年度の1万2146人よりは若干減少したものの、依然として1万人を超える人が旅行業務取扱管理者試験を受験しています。令和3年度の総合旅行業務取扱管理者の受験者数についても同じように大きな減少はないものと予想しています。
全ての受験生が観光業、旅行業を目指すわけではなく、単純に旅行に興味があったから受験したという人もいれば、資格コレクターの人もいると思いますが、実際にやり取りをした受験生の中には、これから旅行業界に進みたいという人もいましたし、国内旅行業務取扱管理者試験の合格発表後には旅行事業を始めたいとお話された人もいました。
そんな旅行業務取扱管理者試験について、令和3年度に実施された内容を振り返りたいと思います。※令和3年度に実施された試験問題は、JATAおよびANTAのホームページに掲載されています。
令和3年度の国内旅行業務取扱管理者試験は、法令約款は例年通りの難易度でした。そして、国内旅行実務では運賃計算問題で貸切バスとフェリーの自動車航送運賃の複合問題が出題されたり、国内地理問題では国内空港の愛称から空港名や都市名を答えさせる問題が出題されました。例えば、「たんちょう空港」はどの都市の空港か、「きときと空港」はどこの都道府県にあるのかなど、さすがに空港名まで試験対策をしている受験生はいなかったのではないでしょうか。それでもしっかりとした基礎知識があれば、十分に合格点を狙える出題傾向でした。 ※たんちょう空港=釧路、きときと空港=富山