ハワイの「今」を駐在員の視点から-観光客の受け入れ再開に期待、失業率はパンデミック発生後の最低値に

小学生への接種も始まる新型コロナワクチン接種状況

 10月末時点での島別のワクチン接種完了者の割合は以下の通りとなっています。

州全体ホノルルマウイハワイカウアイ
71%74%64%67%67%
2021年10月30日現在:State of Hawaii, Department of Health

 全米50州の中でもワクチン接種率の進んでいるハワイでは、10月15日に2回接種完了者の人口が大台の70%に達し、1回接種済の人数も80%を超えました。また、65歳以上のシニア及び18歳以上の重篤化及び感染リスクが高い住民向けに始まっている3回目の接種、「ブースター接種」は、全3社(ファイザー、モデルナ、ジョンソン&ジョンソン)のワクチン使用が承認されており、異なるブランドのワクチンを使用する交差接種も可能になっています。更に11月8日からは、12歳未満(5歳から11歳)の小学生を対象にした接種も開始予定となっています。接種方法に関しては、毎年実施されるインフルエンザ予防接種と同様に各小学校にて行う計画が立てられています。

 既に出来上がったシステムで接種が行われるので、開始後は速いペースで接種が進むように思われます。しかしながら、12歳以上が対象になった際も、強制ではありませんでしたが、学校生活に不都合が生じたために仕方なく接種した家庭も少なくありませんでした。従って、更に発症しない可能性も高く、重篤化しない事も多い5歳児からの場合は、「様子見」をする家庭も多いと思います。

 ワクチン接種率の高いハワイにおいては、児童への接種は集団免疫に向けての「最後のピース」になります。「社会の安全」と「副反応のリスク」、保護者としては接種の是非はとても悩ましい問題になっています。

ハワイ到着に関する規制状況

 感染者急増により、8月に州知事は渡航自粛要請を出しましたが、11月からは観光客の受入れを再開する、と発表しています。セーフトラベル・プログラムは継続して実施されますので、ハワイ州訪問には「陰性証明書」が引き続き必要です。加えて11月8日以降、ハワイを含む米国入国には「ワクチン接種証明書」も必要になります。

空きの目立つプールサイドデッキ。ホリデーシーズンのリバウンド?まであと少しです。

ハワイ滞在時の市民生活に関する規制状況

 市民生活に関しては、州の規制に基づき、各島の市郡政府が制限を設定しています。ホノルル市が緩和を行う際には、ハワイ州知事との意見調整が必要になるのですが、慎重派の知事、緩和に前向きな副知事や市長とで意見が対立していると度々報道されていました。

 市民の反応は、「ワクチン接種済が多く、室内でのマスク着用奨励を続ける場合、集会人数を制限するのは釣り合わない」という副知事の意見に賛同する方が多いように感じます。実際、米本土からの大リーグ中継で見られる満員のスタジアムとは異なり、ホノルルでは集会人数制限により、スポーツやイベントは延期もしくは無観客開催という、同じ国なのか?という状況でした。

 結果、オアフ島では11月1日より大幅な規制緩和が実施されることとなりました。

・屋内、屋外で行われるイベントは観客の収容率100%を許可(現行1000名又は50%)
・冠婚葬祭など屋内での参加型イベントは150名まで許可(現行25名)
・飲食店でのアルコール飲料の提供は深夜2時または4時まで延長(現行24:00)

 ワクチン接種及びマスク着用は継続して求められますが、12月開催のホノルル・マラソンは、参加人数制限なし&マスク着用義務なし、で開催すると発表されました。

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