マリオット、B2Bオンラインイベント開催、注目市場はアジア人口の50%を占めるZ世代

  • 2021年9月8日

 マリオットインターナショナルはこのほど、アジア太平洋地域のパートナー企業や旅行会社、航空会社、業界メディアを対象としたB2Bオンラインイベント「マリオットインターナショナルと共に~旅行とイベントの新しい未来へ~」を開催した。

 ザ・リッツカールトン・ミレニア・シンガポール、ルネッサンス香港ハーバービューホテル、JWマリオット・ゴールドコーストの3会場をつないで開催したイベントでは「新しい時代の顧客ロイヤルティプログラム」、「マリオットはパンデミック禍、そしてその後どのようにブランド関連性を維持するか」、「パンデミック後の消費者行動」の3テーマで講演を実施。最後に「旅行とイベントの未来」についてのパネルディスカッションをおこなった。

ジュリー・パーサー氏

 「新しい時代の顧客ロイヤルティプログラム」についてマリオットインターナショナルのアジア太平洋地区マーケティング ロイヤルティ&パートナーシップ担当のジュリー・パーサー副社長は、まずロイヤルティプログラムに関し企業の約90%が導入し消費者の約15%が何らかのプログラムに参加する数字を挙げてその重要性を指摘したほか、プログラムの重要な構成要素は会員に与えられる特典と、会員に対する認証であるとした。その上でコロナ禍後のロイヤルティプログラムには、「特典と認証だけでなくLOVEとMONEYの要素がより強く求められるようになる」と説明した。

 さらに今後はロイヤルティプログラムの重要度がますます上昇し、デジタル技術を駆使したより新しいプログラムの開発やポイント獲得や償還の選択肢の拡大、企業と参加者の関係性の強化などが求められることになるとした。

 またマリオットのロイヤルティプログラムであるマリオット・ヴォンヴォイは常に進化を遂げており、ロイヤルティアプリを導入することで、スマホを客室キー代わりに使えるモバイルキーや、フロントに立ち寄らないでチェックイン手続きができるモバイルチェックインが利用できることや、米国内ではウーバーとのポイント連携を実現したことを進化事例として説明した。

ジェニー・チュー氏

 「マリオットはパンデミック禍、そしてその後どのようにブランド関連性を維持するか」のテーマで講演したマリオットインターナショナルのアジア太平洋地区ブランドマーケティング&ブランドマネジメント、ジェニー・チュー担当副社長は、「人は集う生き物でありパンデミックによっても人と人との交流や旅への欲求をなくすことはできない」との認識を示したうえで「旅はコロナ疲れを癒す解毒剤である」と旅行の持つ力に言及。コロナ禍で人々は新たな働き方に目覚め、ウェルネスや清潔性、安全性への関心をより高め、社会や環境への意識も高めると分析した。

 また旅行の具体的な内容について、セカンダリーシティーへの旅行や目的志向の旅、グルメ旅行などのニーズが高まり、働く場所を選ばないデジタルノマドの存在が旅行市場で存在感を増すと予測した。さらにラグジュアリーな旅行に求められるのは、より没入してパーソナルに楽しめる本物の体験であり、旅の同伴者はより親密な関係にある者が望まれると予測。最も注目すべき市場としては「25年までにアジアの人口の50%を占めることになるZ世代」を挙げた。

 こうした認識を基にマリオットがコロナ禍後に打ち出す戦略としては、ウェルネス関連のキャンペーン展開や、ラグジュアリー市場に対する特別でプライベートな体験の提供、マリオット・ヴォンヴォイなどを通じた先端テクノロジーの活用、自然環境や地域コミュニティを尊重した旅行の実現、次世代向けブランド「Wホテル」の展開拡大などを挙げた。

オスカー・セレザール氏

 「パンデミック後の消費者行動」を説明したのはMCIグループのオスカー・セレザールCSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)。同氏はパンデミック後のビジネスイベントの変化に着目し、安定して予測可能だった市場が新たなプレイヤーとルールによって形作られる新たな市場に変化しビジネス手法も変わると予測している。

 こうした時代に適切なビジネス手法を探るには正しいマトリックスに基づく分析が重要だとし、設定するマトリックスとして、同時に複数のビジネス手法を駆使できる「組織の力」や、提携や共同事業、買収などによる「バリューチェーンの再構築」、アウトソーシングや新技術の導入による「高次産業化」などを挙げた。

パネルディスカッションの様子

 なお「旅行とイベントの未来」のパネルディスカッションには、アジア太平洋地区の有力企業のトラベルマネージャーやエグゼクティブ、旅行会社代表、イベント運営会社幹部とマリオットインターナショナルの太平洋地区チーフセールス&マーケティングオフィサーのバート・バーリング氏らが登壇した。