「銀行はこう使え!」-メガバンク元営業担当が本気のアドバイス Final
銀行マンのセカンドキャリア、これからの銀行のあり方
銀行の未来
さて、そんな銀行ですが、これからどのように変わっていくのでしょうか。キャッシュレスや仮想通貨をはじめ決済に関わる環境は多様化しており、お金の調達手段もクラウドファンディングに代表されるように不特定多数から簡単に調達できる仕組みが出てきました。個人的な見解として、1つ1つのサービスは新興勢力に取って代わられることがありながらも、「総合金融機関」としての役割・ポジションは維持し続けるのではないかと思っています。
銀行はもとより、預金者にとっても金利で稼げる時代は終わりました。これは銀行におけるストックビジネスの限界とも言えます。かつては金利収入で稼ぎ、顧客に利便性を還元し、更にストックを集めることでビジネスが成り立っていました。この頃のビジネスモデルにより、消費者の常識として「銀行は手数料がかからない」という考え方が根付いてしまったのではないでしょうか。事実私自身、ATMや振込で手数料がかかると、何となく良い気はしません。しかし、1つ1つのサービス提供にかかる対価を求められる時代はもう到来しています。個人的には、給料が現金支給になること、貯金を自宅に貯めて保管すること、振込等の行為が現金手渡ししかできなくなること、全て勘弁なので、銀行側で必要な一定の手数料は仕方ないかと思っています(法外な手数料は論外ですが)。
幸い代替手段はいくつも出てきていますから、利用者としてのアンテナを高く持ち、数あるサービスの長所短所を把握して必要なものを選ぶことこそが重要なのではないでしょうか。
一方で、永年銀行業を通して築き上げてきた信頼や顧客基盤、情報量は新興企業が技術のみで取って代われるものではありません。事業を営む上で、給料を貰う上で、全ての法人・個人は必ずどこかで預金口座を持っています。カネの動きを見れば、たとえそのヒトを知らなくても商売や生活の実態がかなり深い部分まで分かってしまいます。マクロからミクロまで多くの情報が集積するのが銀行です。従ってその将来性は、多種多様な新しいソリューションに対応していくこともさることながら、これまで培ってきた顧客基盤や情報を組み合わせ、いかに顧客毎に新たな価値を提供できるかだと思います。
これまでは顧客の成長の裏側に銀行が存在してきましたが、顧客の成長を主導できる銀行こそが世の中から必要とされ生き残っていける銀行ではないでしょうか。古巣の状況を鑑みると銀行は良くも悪くも変わらない気がしてなりませんが、今後銀行業界がどう変わるのか一顧客の視点で注目していきたいと思います。
複数回にわたりコラムを読んでいただき、本当にありがとうございました。拙い文章でしたが、銀行の実態を少しでも知っていただき、皆様の銀行取引のお役に立てれば幸いです。旅行業界はまだまだ先行きに見通しが立ちませんが、海外のワクチン接種状況と人流を見ていると、日本の夜明けも近いのではと期待しています。旅行需要が未来永劫なくなることはあり得ませんし、落ち込んだ分必ず良い未来が待っていると信じています。旅行業界に身を置く者として、皆様の今後のご発展をお祈りするとともにともに歩んでいきたいと思います。