東京の中心でまちづくりと一体となった都心型エリアMICE誘致を-DMO東京丸の内 事務局長 藤井宏章氏

  • 2021年6月24日

施設と公共空間を組み合せた演出
体験コンテンツなどで他地域とも連携

 大手町、丸の内、有楽町エリア(大丸有エリア)では、東京の中心という立地を最大限に活かして、国内外から都心型エリアMICEの誘致に積極的に取り組んでいる。その中心的な役割を担うのが「DMO東京丸の内」だ。コロナ禍以前から、大規模国際会議を誘致し、エリア内のさまざまな施設を「面」で活用する都心型エリアMICEの開催を目指し、活動を続けてきた。「まちづくりと一体となったMICE誘致を進めていく」と話す事務局長の藤井宏章氏に、DMO東京丸の内が目指すMICEや大丸有エリアが持つ強みについて話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

藤井氏
-まず、「DMO東京丸の内」設立の背景を教えてください。

藤井宏章氏(以下、敬称略) 高度成長期から近年まで、大丸有はビジネスエリアのため、土日になると人がいなくなるという状況でしたが、新しい時代に向けて、このエリアの3分の1の地権を所有・運営する三菱地所と、その他の地権者や行政とともに新しいまちづくりを考えていくことになりました。

 1988年には大丸有のほぼすべての地権者が参加する「大丸有地区再開発計画推進協議会」が発足し、再開発のガイドラインを作成。将来像や、それを実現していくためのルールや手法を盛り込み、行政や地権者などとそのビジョンを共有しました。

 その流れのなかで、ソフト面でのまちづくりを進める役割として、2002年にNPO法人「大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)」が誕生しました。「DMO東京丸の内」は、そのリガーレを事務局として2017年4月に発足。つまり、大丸有エリアのまちづくりから生まれたDMOになります。

-藤井様の自己紹介もお願いします。

藤井 1985年に三菱地所に入社して以来、長くまちづくりに携わってきました。「横浜みなとみらい」では6年間ランドマークタワーの開発・企画・運営までを担当しました。そのあと、丸の内の再開発、丸ビルの建て替えに合わせた丸の内仲通りの整備にも加わりました。また、ロンドン駐在も5年間経験し、帰国後、現在の大丸有地区のエリアマネジメントを担当しています。以前は仲通りの改修をやっていましたが、今はそれをいかに活用するかに携わっています。いい役割を頂いていると思っています。

-「DMO東京丸の内」の活動方針を教えて下さい。

藤井 我々が目指しているのは「都心型エリアMICE」。つまり、エリアのなかには活用価値の高い施設が点在しているので、ストリートなど公共空間も含めて、エリア全体でMICEを企画・開催していくことです。

 そのためには、まず海外プランナーに丸の内を知ってもらうプロモーションを展開しています。また、街として「面」でMICEを展開していくための支援も重要な活動になります。さらに、参加者の満足度を高めるため、域外との連携を含めた体験コンテンツの開発・造成にも力を入れています。エリア内には東京駅もあるので、ハブ&スポークという考え方で、いろいろな地方と連携しながら活動していきたいと考えています。