【上海現地レポート】多様な観光資源、コロナ禍に訪れたホテル市場の変化
中国東部に位置する上海は、常に世界から注目される大都市です。2021年5月1日からのゴールデンウィーク期間中、上海の観光客数は1688万人に達し、観光収入は400億元を超えました。観光客一人当たりの消費は約2370元であり、同時期の国内観光一人当たりの消費492元の4倍以上を記録しました。
※この記事は6月5日の情報を基に執筆しています。
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5周年を迎えた「上海国際観光リゾート」
上海国際観光リゾートは、上海市浦東の中心部に位置し浦東国際空港から約12キロメートルの距離にある面積約24.7平方キロメートルのリゾートです。コアエリアは、約7平方キロメートルの上海ディズニーランドテーマパークと関連施設のエリアです。リゾートがオープンしてから5年間で8300万人以上の観光客を受け入れ、400億元以上の総観光収入を達成したとともに、15000人の雇用機会も創出しました。
5年の期間を経てコアエリアはディズニーランドを中心として開発され、多様な形態と観光・レジャー機能が共存、ディズニーランドは安定的かつ秩序正しく運営されています。また、トイ・ストーリーエリアの拡張は完了し、アニマルシティエリアの建設が始まっています。
今年の旧正月休暇と清明(日本におけるお盆)休暇中、上海国際観光リゾートの観光客数は着実に増加し続けました。リゾートのショッピングセンターエリア、ビスタービレッジも、観光客数と売上高で大幅な成長を遂げており、今年の3月には、2019年の旧正月休暇と比較して、売上高は184%増加、観光客数は70%増になりました 。
ディズニーランドを訪れる観光客のうち、20~30歳の子供を持たない観光客は全体の5割近くを占めており、その割合は年々増加しています。30~50歳の子供を持たない観光客の割合は30%を超え続けており、若者や中高年の人々がストレスを発散したり、人混みから離れたりするのに理想的な場所になってきています。国民の平均年齢の上昇と消費水準の継続的な成長に伴い、中国の中年および高齢者は、高品質のレジャーおよびエンターテイメント体験に対する需要が高まっており、徐々に重要な消費者グループの1つになっています。
上海文化観光市場の発展
2021年は全体的な観光回復が訪れ、上海ディズニーランド、外灘、黄浦江、田子坊、東方明珠電視塔のみならず、特徴的なブルジョアスタイルのカフェ、その他コンサートやトークショーなど、すべてが観光客を上海に引き付け、上海への観光の目的は多様化しています。
また、上海は深い文化遺産も持っており、1996年に歴史文化都市に選ばれました。古い建物はそれぞれ独自の物語、建築様式、そして文化的な特徴を持っています。上海には貴重な文化観光資源がたくさんあり多くの人がその文化に触れることが可能です。2017年には、来訪者が文化を理解しやすいように、建物ごとにデジタルファイルを作成する「Building Readable」を立ち上げ、上海全体に工事が進んでいます。建物にQRコードを設置し、QRコード情報を読み取ることで市内の建物の歴史を取得できるほか、英語紹介やVR体験などのサービス機能を追加しました。また、上海の街全体を台本の舞台として使用する体験型ツアーが開始され、観光客は上海の文化を探索し、体験するために上海に来る女の子の役を演じます。街のいたるところに NPC (ノンプレイヤーキャラクター)がいて、探索を手伝ってくれるので、観光客は上海の街に隠された秘密を解き明かすことができます。
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