【コラム】コロナ禍中の通信簿

 仕事柄、観光産業内の様々な業種、立場の方とお会いするのですが、コロナの影響を1年以上受けているにも関わらず、覇気が有り元気な方が相当数居られます。そしてそれらの方々には共通する部分が有ります。

 コロナ収束・需要回復のシナリオを楽観・中庸・悲観など幾通りか想定した上で、各シナリオ毎の計画を立てている=だから状況がどうなろうとオタオタしない。社内外とのコミュニケーションが希薄にならないよう、各種のツールも使いながら接点の維持、情報連携に工夫し時間をかけている=コロナ前よりボスや同僚・部下、取引先と濃い関係を実現している。自分では変えられないことで悩まない、悲観しない=ワクチン浸透、オリンピック開催(賛否何れであろうと)、GoTo実施等々、これらは自分では変えられない、だから無駄に悩まない、しかし将来の為に意見は言う。

 そして最も顕著なのが、コロナ前にはやっていなかった事、新たな試みへの挑戦の数です。マルチタスク推進による外注の内製化、テレワークによるオフィス関連・交通費の削減等々のコストセーブ、補助金や公的融資の活用、新たなサービス・商品の開発、顧客満足や業務効率向上の為のDXなどは勿論の事、ピークアウトした或いはコロナ後に成長が期待出来ない事業の整理、異業種との新たな共同事業やライバルとの提携・協調の模索等、コロナ前にはやっていなかった、やれなかった、やろうと思ったことも無い事への取組・挑戦の量が多い。

 一方、共通しない事も有ります。

 それは会社の規模、資本力、知名度。いわゆる大手と言われる会社、十分な内部留保が有る会社、親会社からの資本注入が期待出来る会社に限って「覇気」が有る人が多い訳でも、個人事業主にいないわけでも有りません。むしろ小規模、一定規模でも権限移譲が進んでいる会社により多く居られます。ここまで来ると、大手だ、親会社だ、看板だは何の保証にもならず、個々人の知恵や挑戦する気概、それを許し積極的に活用する企業の度量、規模や社歴に囚われず手を組む柔軟性こそが生死を分かつのだと思います。収束後、個人や会社がどのような通信簿を受け取るかはここにかかっています。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事