「2019年水準への回復は2030年」悲観的に予測し楽観的に行動-ロワジールホテル那覇総支配人 武田寛枝氏
コロナ禍でもスタッフをマルチタスク化しCS維持
沖縄観光振興に必要なのは顧客満足度の向上
武田 当ホテルに関しては、一言でいうと、非常に厳しい状況です。2020年の稼働率は対前年比で40%ダウン。ADRは15%減少しました。誰も想定しなかった状況で、想定していた経営状態ではありません。今後何ヶ月耐えられるか分からないという状況です。
沖縄県の状況を見ると、一番厳しいのはお土産屋ではないでしょうか。従業員を守らなければならない。在庫を蓄える倉庫を借りておくだけでランニングコストがかかる。それを何の支援もなしにやらなくてはなりません。今は、Go Toトラベルも停止しているため、さらに厳しさは増しているのではないでしょうか。
武田 基本的には少数スタッフで運営するために従業員のマルチタスク化です。昨年5月に稼働率が5%にまで落ちたとき、さまざまな部分を削りました。そこで、顧客満足に直結するものとそうでないものがはっきりし、ホテルとして顧客満足につながるものは削ってはいけないことが分かりました。
たとえば、当時お出迎えのスタッフをなくしましたが、やはりこの規模のホテルで入口に誰もいないと、お客様は不安になる。そこで、現在では営業スタッフを1名お出迎えスタッフとして、マルチタスクで担当させています。お客様に接するとフロントまわりで人を減らすとクレームにつながります。昨年一年で学んだことは今後も生きてくると思っています。
武田 ロワジールホテル那覇は那覇市内でもWi-Fi環境が強いホテルですので、オンラインミーティングやオンライン商談の環境を整えています。また、MICEの相談対応でもオンラインでの取り組みを進めています。
一方、ワーケーションについてはまだ未知数です。多くの企業が出張を制限しているなか、ワーケーションの需要がどれほどあるのか。ワーケーションのために館内を改装するのは控えていますが、外部企業とのコラボレーションは考えていきたいと思っています。
武田 悲観的に予測をして対応策を立て、楽観的に行動することを心がけています。2019年水準に戻るのは2030年頃になるのではと厳しい予想をしています。国内市場ではコロナ禍で出張に行かなくても済むことが分かった。インバウンドもすぐには戻らないでしょう。さらに、これまで沖縄に来ていた人に経済的余裕がなくなっていることも心配です。
当ホテルの宿泊客数についても厳しい予測をしており、今年は19年比で40%、来年が45%と想定しています。このような厳しい予測の元、今年は新しい収益源の確保をテーマにしてます。
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