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業界団体の役割を問う-「一時」代表アレックス・デベス氏

  • 2021年2月16日
-JATA会長へ公開で書簡を送られた意図をお聞かせください

デベス コストカットを進めるなかで、それまではライセンスのためにJATAに入っていましたが、コロナ禍中も何のサポートもなく、JATAの役割は旅行業を支援することではないかという思いが募っていました。そこでJATAに向け、需要がない状態なので35万円の会費の免除や減額をしてもらえないかとメールを送ったのですが、返信はなく、通常通り会費の支払いを要求されました。

 その後Go Toトラベルが始まり、私たちも参画したかったのですが、プロセスが複雑で、質問をしても何ヶ月も返信はなく、紙クーポンだけが大量に送られてきました。現状の体制にはさまざまな問題がありますが、小規模な会社のことを考えていないということが大きいと思います。JATAのボードメンバーは大手旅行会社で、主力は国内旅行。インバウンドはあまり関係ないということなのでしょうか。同業者からも、JATAに入っているのはライセンスだけが目的で、それがなければ本当は外れたいと思っているという声を聞きます。

 JATAに直接意見するのはやめた方がいいという人もいました。ですが目の前の問題として、国の支援がなくなれば社員の雇用を守れなくなるかもしれないという事態があり、それならば思うことは言った方が良い、できる限りのことをして最後まで戦おうと考えました。

 前回メールだけでは返事がもらえなかった経験から、LinkedInを使い、JATA会長に向けて公開でレターを送りました。レターはLinkedIn 内で1800名以上に読まれ、その後トラベルビジョンでも取り上げてもらい、ようやく先日JATAから電話がありました。具体的な話ができるかと期待したのですが、業務のスタッフの方からで、今はコロナなので会って話すことはできない、レターは読んだが会費の支払いの猶予もできない、昨年分は請求書を送ります、というだけの内容でした。

-昨年10月にHICJ(HOSPITALITY INDUSTRY CLUB OF JAPAN)を立ち上げられましたが、この組織の目的や活動予定について教えてください

デベス JATAに入った時には情報提供などのサポートを期待していましたが、特にそういったものはなく、ツーリズムEXPOのようなイベントに行ってもインバウンドを扱う中小の旅行会社に関わりのある企画はないと感じていました。以来何か代わるものを作らなくては思っていたものの、2019年まではお客様の手配に追われて実現できずにいたのですが、コロナで需要が落ち込んだことをきっかけに、昨年秋、中小規模のインバウンド関係の会社、ホテル、ガイド、アクティビティを扱う会社などのためのクラブとしてHICJをスタートさせました。

 私はJATAと対決したいわけではありません。ですが、例えば東京都ホテル旅館組合では、昨年はコロナの影響を考慮して会費を免除しています。JATAにはそういった会員への支援や情報提供もありません。また2010年からインバウンドブームが始まりましたが、その頃から日本の旅行業界は変わっておらず、今非常に厳しい状況に立たされています。HICJは同じことを思う同業者のための、よりポジティブな旅行クラブにしていきたいと考えています。

-需要が蒸発しているなか、一時として、またHICJとしてどのような取り組みをされているかお聞かせください

デベス 一時としては日本に住む外国人のための旅行手配をしているほか、昨年10月からは「一時コンシェルジュ」という名称で、仕事などで日本を訪れる外国人に向け、安全な入国をサポートするパッケージを提供しています。海外には入国者が滞在できるホテルのリストなどをウェブサイトで確認できる国もありますが、日本にはなかったため、ビジネスチャンスがあると考えました。副業レベルの収入ですが、ホテルやハイヤー会社などのビジネスパートナーの仕事にもわずかながら貢献できているかなと思います。

 HICJも立ち上げのフェーズながら、自前のITチームでウェブサイトを作り、ネットワーキングの場を設けるなどの活動を行っています。日本の旅行業界には日本語の組織はありますが、外国人の事業者向けに日本語と同レベルで英語の情報提供ができる組織はないので、そういった役割も担っていきたいと考えています。