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業界団体の役割を問う-「一時」代表アレックス・デベス氏

  • 2021年2月16日

 1月14日掲載のコラムで取り上げたJATAへの公開書簡を覚えておいでだろうか。インバウンド旅行を手掛ける一時(ヒトトキ)の代表アレックス・デベス氏が、コロナ禍中の会員への支援やGo Toトラベルへの対応について疑問を投げかけた内容だ。昨年新たに中小の旅行会社の共助のための組織を立ち上げたというデベス氏に、書簡の公開に至るまでの経緯と現在の状況について聞いた。インタビューは2月3日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

-はじめにご自身ならびに貴社のご紹介をお願いいたします
一時代表のアレックス・デベス氏

アレックス・デベス氏(以下敬称略) 父はフランス人、母はレバノン人で、フランスで生まれ、10年前から日本に住んでいます。30年から40年ほど前、レバノンの内戦の影響で母方の親族が世界各地に逃れ、日本に来た親族もいたのですが、私は学生の頃に一度旅行で日本を訪れ、その親族にも会いました。その時言語の問題でコミュニケーションが取れなかったのがとても残念で、また日本という国にも興味を持ち、日本に留学することを決め、その後も日本で働くことにしました。日本食ではトンカツ、特にヒレカツが大好きです。

 はじめはEXO Travelの東京オフィスで働いたのですが、当時まだあまりなかったラグジュアリー路線の旅行会社を作りたいと考え、2016年に一時を設立しました。旅行会社とコンシェルジュサービスの間を取ったような会社で、現在はFIT旅行を中心に、アメリカ、中東、ヨーロッパなどのお客様に向けて旅行を販売しています。事業としてはインバウンドがメインですが、大使館など日本国内に住む外国人の方のプライベート旅行の手配なども行っています。

 「一時」は英語では”One time”で、”Once-in-a-lifetime”、「一生に一度の旅行」という思いを込めました。また「一時」という言葉は英語でもアラビア語でもフランス語でも発音しやすく、覚えてもらいやすいことも選んだポイントです。

-コロナの業績への影響についてお聞かせください

デベス インバウンドは90%以上落ち込み、キャッシュが続かないため昨年3月より休業に入りました。その後は国の雇用調整助成金も利用しつつ、事業継続に向け、夏までの間に自分の給与をはじめ可能な限りのコスカットを行いました。台湾支店の開設も予定していたのですが、一旦事務所を置くのみに止め、需要が戻ったらオープンしようと考えています。

 従業員は社員2名とパート1名で、追加で考えていた雇用は取りやめましたが、リストラはしていません。ただし今後国からの支援が終わるとなると、もう前年の収益も残っていないので、むしろ今年の方がより支援が必要な状況になるだろうと同業者の間では話しています。