観光局のプロが語る観光マーケティングのリアル、その現在地とは-IDMセミナー
B2CとB2Bの使い分け、旅行会社に課題も
JNTOのデジタル戦略は
JNTOのデジタル戦略、Bリーグは米サッカーを参考に
基調講演では、日本政府観光局(JNTO)企画総室デジタルマーケティング室長吉田憲司氏がJNTOのデジタルマーケティング戦略を解説。JNTOではデジタルマーケティング分野を強化しており、来年度にデジタルマーケティング室は「デジタルマーケティングセンター」に格上げになるという。14言語21ウェブサイトのリニューアルなど情報発信基盤の整備だけでなく、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)でのビッグデータを活用したプロモーション展開やデジタルの可視化による事業効果測定も開始しており、デジタル技術を積極的に活用する方針を示した。
具体的な事例としては、スマートフォンの位置情報を利用して旅行博覧会への来場者が6ヶ月以内に実際に日本に来たか動向を把握する取り組みや、サイト訪問者に対しての広告反応度(CTR)も確認している。データ活用にあたって、「デジタルデータをオンラインだけでなく、オフラインの事業活動にも連動、貢献させて、年間を通じた各事業効果を確認する」ことをねらうという。また、JNTOでは国内各地域からデジタルマーケティングに関する相談も多く寄せられるため、プロモーションやマーケティングの支援メニューやウェブサイトやSNSの制作ノウハウも公開していることを紹介した。
続いて、B.MARKETING取締役マーケティンググループ統括の塚本陽一氏は、日本で野球、サッカーに次ぐ3番目の団体プロスポーツであるバスケットボールの周知に取り組むBリーグのマーケティング施策を説明。バスケットボールは世界で競技者人口1位、日本でも2位とポテンシャルの高い競技といい、デジタルマーケティングにおいては、「アメリカで後発ながら成功したメジャーリーグサッカーをモデルに、クラブ内やBリーグだけでなく協会も含めてバスケ界全体の統合DMP構築をめざしている」という。
さらに、チケット購入時に選ぶ座席の「見える角度がわかる」3Dシートマップからの購入システムの展開や、NPS(ネット・プロモーター・スコア)での発見を運営クラブへフィードバックしたり、選手のベンチから観ているような観戦体験ができるVRゴーグルを導入するなど先進事例も紹介した。