もう1つの年頭所感-平成最後の田川氏新春インタビュー(後)

JATA年頭所感にないテーマを中心に
後編は旅行会社の存亡、自身の10年後など

-コンシェルジュ的、コンサルタント的な努力は、これからの日本人旅行者の気持ちにどの程度響いていくのでしょうか

田川氏田川 時間とエネルギーがある若者はそれほどパッケージツアーを必要としないだろうし、若いうちは自分の手で自分の旅行を造れば良いと思う。ただし、社会に出て仕事が忙しくなったり、年齢とともに注げるエネルギーが減退したりしてくれば、自然とパッケージツアーを利用するようになる人が増えていく。

 かつて使われていた「旅行代理店」という言葉は、「助けが必要なお客様に手を貸し、お客様の代理をする存在」という旅行会社の本来の姿を表していた。ただし、その言葉がいつの間にか「交通機関の販売を代理する存在」というニュアンスを帯びていってしまったことを、我々は反省しなくてはならない。日本の旅行会社は原点に立ち戻るべきで、1人ひとりのお客様の代理として、言わばオーダーメイドの旅行を提供することを心掛けるべきだ。

-日頃から「企画力」「提案力」「斡旋力」「添乗力」の4つを「旅行会社の真価」として強調されていますが、その理想は次の時代にどう体現すべきでしょうか

田川 まずは各社がそれぞれの力を磨き上げて「プロ」になるしかない。そして人材を揃えて、1人ひとりの旅行者の要望に応えられる体制を用意する。

 4つのうち、特に気になっているのは「企画力」の低下だ。企画やその提案に自信が感じられないのは、旅行会社の側に「プロとして極めている」という自信がないからだろう。さらに言えば、真に旅行会社の真価を発揮するためには、第5の力として「組織力」が必要になる。優れた人材がいるだけでは駄目で、旅行会社という組織全体が力を高度化していかなければならない。