観光庁、19年度予算は出国税で2.2倍の711億円-20倍増の事業も
政府は12月21日、2019年度予算案を閣議決定した。このうち観光庁関係は18年度比2.21倍増にあたる711億600万円で、一般会計分は来年1月7日から徴収する国際観光旅客税(いわゆる出国税)による歳入485億円を含む2.42倍増の665億9600万円。あわせて復興枠として1%減の45億1000万円を充てる。観光庁は概算要求で一般会計分として2.45倍増の785億3300万円を、復興枠として増減なしの45億6500万円を要求していた。
19年度の観光庁予算は、出国税の使途に関する基本方針で示された3項目で構成。各事業は「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」「我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化と観光産業の基幹産業化」「地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度向上」に大別されている。
このうち最も大きなウェイトを占める快適な旅行のための環境整備については2.37倍増の278億6500万円を充当。事業別では「円滑な出入国の環境整備」に5.89倍増の70億6300万円を充てるほか、空港での各種手続きを迅速化する「FAST TRAVELの推進」に35億円を、公共交通機関におけるキャッシュレス決済などを促進する「公共交通利用環境の革新など」に55億円を、それぞれ出国税により新たに予算措置する。
情報入手の容易化などについては、38%増の148億7600万円を充当。出国税を充てるのは「ICTの活用などによる先進的プロモーションの実施」のみで、3.96倍増の51億4900万円を措置する。6割強を占める「戦略的な訪日プロモーションの実施」は4%増の90億4900万円。訪日外国人旅行者数の増加が見込まれる、中東や中南米などの新たな有望市場に日本政府観光局(JNTO)の現地事務所を設置するための準備などを始める。
地域での満足度向上については6.41倍増の224億4100万円を充当する。全事業を通じて最も予算額が大きい「文化資源を活用したインバウンドのための環境整備」は20.00倍増の100億円、「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」は20.32倍増の50億8000万円で、ともに20倍の大幅増。そのほか「インフラを始めとした地域資源を活用したコンテンツの造成など」に13億円を、「地域の観光戦略推進の核となるDMOの改革」に22億9600万円を、それぞれ出国税により新たに措置する。
なお、政府によれば出国税による歳入は合計で500億円。このうち観光庁に一括計上した485億円については、一部を法務省などの関係省庁に移し替えて執行する。残りの15億円は、皇室に代々受け継がれた美術品類を展示公開している三の丸尚蔵館の整備費用で、皇室経済法を踏まえて例外的に宮内庁所管の宮廷費として扱っている。
税制改正要望については、すでに免税店許可を受けている事業者が地域のお祭りなどに出店する場合に、現在よりも簡素な手続きで免税販売を実施できるよう求めていた要望が認められた。