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「skyticket」のアドベンチャー、燃やす海外OTAへの対抗心

最初からグローバル市場に照準
中村氏「まだ何も始まっていない」

フィールドを「生活」に拡大したとしても「旅行が第一」という意識は強いですか

中村氏 中村 あまりこだわってはいないかもしれない。航空券販売から始めた理由は、事業のグローバル展開と親和性が高いと思ったからで、なぜなら商品の提供元の航空会社は、ほぼ全社がグローバルに展開している。また、日本市場は縮小しても、近隣の東アジアや東南アジアなどの市場は大きく拡大する可能性が高い。

 加えて、航空券や旅行の販売において未開拓の部分はまだまだ大きい。例えばAIの機械学習によって広告費の投資利益率を最適化するような取り組みや、UIやUXのパーソナライズなどはそれほど進んでいない。外からは見えにくいが、僕たちはその領域の開拓にかなりのエネルギーを注いでいて、国内では最先端の会社の1つと自認している。


他社への投資やM&Aにも積極的に取り組むなか、先日には旅工房の株式の5%超を取得しました。目的や今後の見通しは

中村 目的はあくまでも純投資で、今のところ提携の話はない。旅工房の売上高は今後も伸びると思うし、国内発着ツアーの市場はまだまだ大きい。僕たちが未着手だったこの分野については、自力で取り組むべきか投資すべきかを検討したが、時間とコストをかけるよりは海外航空券に注力した方が良いと思い、自社で取り組まないリスクについては旅工房への純投資で担保することとした。一部の報道にあった買収の可能性は、全くない。

 日本のリアルエージェントの国内発着ツアーの取り扱いは、今も非常に大きい。そして航空券と同様に、一定の割合がネット販売に流れてくると見ている。しかしそこに僕たちが入り込もうとすると、本来の目標であるグローバル展開が減速する。


日本発着のツアーを造っても、今後は市場規模が限られます

中村 それなら航空券販売などを軸にグローバル展開を加速した方が、ハイリスク・ハイリターンではあるがやりがいがある。来年からは韓国や台湾など、売上高の大きい国から順に支社を開設するなどして 、一気に展開を進めたい。

 今はまだ、正確には「準備の準備」をしている段階で、現地に支社を作り、現地で航空会社と契約をし、ホテルを仕入れ、売上と利益を出して初めて、僕たちにとっては「準備が整った」と言える。訪日旅行に特化した会社には投資していないのも、ひとえに日本限定のビジネスをしたくないからだ。

 ちなみにM&Aは今年度も1社以上実施する予定で、旅行関連の会社にするか、それ以外にするかにはこだわっていない。以前はリスクヘッジのために、努めて旅行以外の会社を買おうとしていたが、今ではホテルやレンタカーなどの強化でかなりのリスクを回避できると考えている。


最後に、プライベートでも旅行はお好きですか

中村 学生の頃から好きで、頻度こそ少なくなったが、最近ではサッカーのワールドカップを機にロシアを訪れた。また、ダイビングが好きで何度もパラオに行っているが、それ以上にミャンマーやバングラデシュ、ネパールなどアジアの発展途上国が好きだ。市場の大きさや将来性よりも、若い人が多く、みんな楽しそうでやる気が感じられるところがいい。将来はこれらの国でもビジネスを始めたいと考えている。

 例えば人口の多いインドやバングラデシュで、バスの予約サイトなどを始めたい。現地の人材を採用し、僕たちのテクノロジーや広告展開のノウハウを活かして、現地に根付いたビジネスを展開する。そのような形の方が、単なる寄付よりも現地の社会に貢献できると考えている。


-ありがとうございました