国税庁に聞く出国税のあれこれ、しくじり防止には熟知と準備

法文に登場しない旅行会社の役割とは
「不徴収犯」生まないために連携を

-不徴収犯となった際の罰則は

齋藤 1年以下の懲役か50万円未満の罰金に処される。もっとも罰則を受ける対象は、最終的に税を納付する航空会社などの特別徴収義務者で、旅行会社は直接罰せられるわけではないが、いずれにせよ徴収の代行にあたっては特別徴収義務者との緊密な連携に努めて、適切に実施していただきたい。


-税法上に登場しない存在の旅行会社ではあるが、適切に遂行しないとパートナーとのビジネスにもヒビが入ると

齋藤 旅行者に対しても同じことが言えるが、徴収に関して何らかのトラブルが発生し、「取引を停止する」「おたくの商品はもう買わない」ということになれば、旅行会社にとっては大きな打撃になると思う。基本的に、旅行会社は特別徴収義務者としっかり協力・連携していただけるものと考えているが、適切に納税されないケースがあれば、特別徴収義務者を通じて個別に調査を実施し、未納分を追加納付していただくことなども考えられる。


-旅行会社と特別徴収義務者は綿密に連携し、準備しておく必要がある

齋藤 例えば、海外に向けて出発したものの、悪天候で飛行機が日本に引き返したような場合、どのような手順で旅行者に1000円を返金するのか。航空会社が返金すると決めれば、旅行会社もそれに準じることになると思うが、航空会社から旅行者に直接返金する場合もあるかもしれない。また、代わりの便を用意して出国できれば返金の必要はないが、その場合もさまざまな対応が考えられるので、事前に調整しておく必要がある。

 そのほかにも外交官が出国する際には、徴収対象となる私用なのか、対象外となる公務なのかを判別するために、各国大使館などが発行する証明書の有無を確認しなくてはいけないが、その証明書は最終的には印刷したものを航空会社で保存しなくてはならない。旅行会社はその証明書をどのように送付すべきかなど、航空会社と調整すべきことはたくさんある。


-ありがとうございました


▽国税庁、国際観光旅客税の概要(Q&A集、事業者・旅行者向けリーフレットあり)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/kansetsu/kanko/index.htm

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