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若者海旅検討会が最終取りまとめ-「体験」訴求、旅行会社とモデル事業

  • 2018年7月29日

 観光庁は7月27日、「若者のアウトバウンド活性化に関する検討会」の最終とりまとめを発表した。取りまとめには、20代の若者の海外旅行について、現状や経済面・非経済面からの環境分析などを掲載。現地での外国人とのコミュニケーションや異文化体験、社会的活動などの「海外体験」の重要性を訴えるとともに、体験の機会を増やすための取り組みとして、「旅行業界における海外旅行のビジネスモデルの見直しと提供するサービスの変革」「官民・教育界が連携した国民的ムーブメントの醸成」「モチベーションの向上・阻害要因の緩和・環境整備」を提示した。

 取りまとめでは、若者は海外旅行をレジャーとして捉えるだけでなく、海外体験に価値を見出す傾向があることを説明。その上で、海外体験は日本の社会、文化、価値観などを客観的かつ相対的に捉え、海外との違いを受け止めた上で、外国人と柔軟にコミュニケーションを取る技術や考え方を身につけることができると主張し、海外体験の意義を強調した。海外体験をしない若者の増加はグローバル人材の減少に繋がるとともに、観光先進国の実現に影響があるとし、旅行業界、関係省庁、経済界、教育界が協力して、若者の海外旅行の促進に取り組むよう求めた。

 取り組みのうち「旅行業界における海外旅行のビジネスモデルの見直しと提供するサービスの変革」では、旅行業界に海外体験に比重をおいたコンテンツの磨き上げと、海外体験に特化した商品造成の強化を提言。海外企業のCSR活動やボランティア活動への参加ツアー、ワーキングホリデーや海外留学の事前下見ツアーなどの商品造成のスキームづくりのため、モデル事業の実施を提案した。観光庁によると、モデル事業は19年度に開始する考えで、今年度中に事前調査を実施する予定。

 このほか、大学に対しては、観光産業の中核となる人材育成プログラムで海外体験の機会を組み込むこと、観光業関係者や地方自治体、DMOに対しては、地方でインバウンド誘致に携わる若手社員や職員の海外体験を促進するため、情報発信を強化するよう求めた。