JALグ、「ローリング2018」と10年後の姿を発表、売上2兆円へ
JALグループは2月28日、昨年4月に発表した2017年度から20年度までの中期経営計画を修正した「ローリングプラン2018」を発表し、20年度の売上高は17年度見込み比17.1%増の1兆6000億円、営業利益は同8.4%増の1800億円をめざすことを明示した。また、10年後の2027年度末までに実現すべき「JAL Vision」として「世界主要500都市への乗り入れ」「国際線旅客の海外販売額比率50%」や売上高2兆円、営業利益2500億円、営業利益率10%以上の継続も掲げた。中計は今後も毎年更新する予定。
同日の発表会見で日本航空(JL)代表取締役社長の植木義晴氏は、昨年4月の中計発表時には20年度の売上高や営業利益の目標額を明示しなかった結果、発表後に株価が大きく下落したことについて振り返った上で「投資家とのコミュニケーションの大切さを痛感した。今回は10年後の数字を思い切ってつけた」と説明。今後も計画においては数値目標をしっかりと示す考えを伝えた。なお、昨年4月の発表時の会見では、20年度には旅客便・貨物便運航からなる「コア領域」で1兆1000億円、その他の「新領域」で4000億円の計1兆5000億円を売り上げ、営業利益は年平均1800億円をめざす考えを示している(関連記事)。
世界主要500都市への乗り入れについては、現在は自社運航による90都市とパートナー企業による253都市を合わせて343都市に乗り入れているところを、アジアなどの既存・新規のパートナーとの関係強化により、コストを抑制しながら大幅に増やす考え。JLは昨夏以降、航空アライアンスには属していないベトジェット航空(VJ)、ヴィスタラ(UK)、ハワイアン航空(HA)、アライアンスの異なるアエロメヒコ航空(AM)、アエロフロート・ロシア航空(SU)と次々に提携を発表している。
自社では18年度にアジアおよび海外リゾート路線の増便とチャーター便運航を予定。19年度は北米西海岸への路線を新設し、アジア/北米間のネットワークを強化する。20年度の首都圏空港発着枠拡大によっても国際線を拡充し、現在の国際線旅客の海外販売額比率は30%強程度にとどまるところを、50%にまで引き上げる。国内線については18年度に、世界自然遺産登録をめざしている奄美群島と沖縄を結ぶ新路線を開設する。
そのほか機内サービスについては、18年度から国内線の機内に衛星テレビを、19年度からは国内線の座席にモニターと電源コンセントを導入。機材については19年度からA350型機の導入を開始する。また、IoTや顔認証技術の活用などにより、空港などで「パーソナルでタイムリー」なサービスを提供するとしている。
航空関連事業では、加えてグランドハンドリングや整備の受託など、事業領域を拡大。航空以外ではフィンテックや超音速機開発、宇宙開発などの新領域にも挑戦する。
機材数は17年度末時点の国際線85機・国内線142機の計227機を、20年度末には国際線92機・国内線138機の計230機とする計画。総機数はほぼ変わらないが、国際線では中型機のB787-9型機の導入を進めるほか、国内線では19年度から大型機のA350-900型機の使用を開始することで座席供給量を引き上げる。
18年度から20年度までの設備投資総額6600億円のうち、老朽化に伴う更新も含めた航空機材への投資には4500億円を充てる。残りは品質やサービス向上のための地上・ITなどへの投資に充て、さらにグループとして成長をめざすための「特別成長投資枠」として500億円を投資する。