JATA、出国税使途で早期に提言-安否システム予算は「画期的」
日本旅行業協会(JATA)の田川博己氏は1月10日に開催したJATAの新春記者会見で、2017年の振り返りや18年の見通しなどについて語ったほか(関連記事)、19年1月から導入予定の「国際観光旅客税」(仮称。いわゆる出国税)についても言及し、「訪日旅行者を増やすには相手の国を知る必要がある。日本人の海外旅行にも裨益する使途を」と強調した。今後はJATAとしての提言を遅くとも3月まで取りまとめる考え。政府は日本人と外国人の両方の出国者から1人一律1000円を徴収し、訪日旅行向けの環境整備策などを中心に財源を投入する方針を示している。
田川氏は、「提言すべきことは山のようにある」と述べた一方で、当面は主に旅行者の安心・安全を担保する施策と、若者の国際交流を促進する施策の2つを要望する考えを説明。その上で、今年度の補正予算と18年度本予算において、海外旅行中の日本人の安否確認のための情報プラットフォームの構築に予算が配分されたことについては「海外旅行の最大の障害である安心と安全に関する事案で、旅行会社が関わる仕組みに予算がついた画期的な出来事」と評価した。19年度予算については引き続き、若者の海外旅行促進策や、2国間交流の振興策などに予算配分を要望する考えを示した。
なお、18年の取り組みについては、海外旅行では昨年に立ち上げ、すでに「ヨーロッパの美しい街道・道20選」「世界遺産級 台湾30選」を発表したアウトバウンド促進協議会の活動をさらに推進する考えなどを説明。国内および訪日旅行については、地方自治体やDMOとの連携のさらなる強化、民泊サービスの健全な浸透、関係者の注目を集めているナイトエンターテイメントの振興などに意欲を示した。
そのほかには、昨年に旅行業界を揺るがしたてるみくらぶ問題についても言及し、「事後処理より事前防止に重視して業界の信頼回復をはかりたい」と強調。JATAは昨年末に「業界の自主ルール」として、前受金に関する「60日前20%の原則」などを明記したガイドライン「海外募集型企画(パッケージ)旅行の企画・実施に関する指針」を公表したところ。今年は4月に、第三者機関による通報窓口も開設する。そのほかボンド保証制度のさらなる普及にも努める考え。