旅行会社とLCCの協業のあり方について議論-JATA経営フォーラム
さらなる関係構築に向けた課題とは
LCC3社が旅行会社に要望
2016年の出国者数は前年比5.6%増の1712万人と4年ぶりに増加した一方、OTAの勢力拡大などにより、主要旅行会社49社の総取扱額は減少した。一方で、FITの増加などを受けて、LCCは年々勢いを増している。日本旅行業協会(JATA)が先ごろ開催した「JATA経営フォーラム」の分科会「旅行業と航空会社(LCC)を再検証する」では、内外のLCCからのパネリスト3人が登壇し、経営方針や販売戦略を説明。その上で、今後の旅行会社との協業の可能性などついて考えを述べた。
国土交通省航空局航空ネットワーク部航空事業課長 大沼俊之氏
バニラエア代表取締役社長 五島勝也氏
スクート日本・韓国支社長 坪川成樹氏
春秋グループ日本代表 王イ氏(※イは火偏に韋)
モデレーター
航空新聞社ウイングトラベル編集長 石原義郎氏
LCCは「なくてはならない存在」に
定時出発率などは要改善
分科会の冒頭では、国土交通省航空局航空ネットワーク部航空事業課長の大沼俊之氏が、日本におけるLCCの現況について講演。国際線の総便数に占めるLCCの割合が、14年夏ダイヤから16年冬ダイヤにかけて約19%増加したことなどについて解説した。16年冬ダイヤにおいては、22.4%を占めたたという。
国内線については、12年にはわずか2.4%だったシェアが、16年には9.7%にまで増加したことを説明。「成田発着の国内線の4分の3を、関空については過半数をLCCが占めている」と述べ、「10年前にはまったく想定していなかったが、(LCCは)なくてはならない存在になってきている」と強調した。
大沼氏は「LCCの参入によりFSCが提供していなかった価格領域帯が掘り起こされ、利用者の増加につながっている」と評価。一方で「定時出発率は依然としてFSCの平均値より低く、改善の余地がある」との見方を示した。
そのほかLCC各社に対しては「行政の立場から見て、安全の確保は外せない。その上で利便性を向上し、お客様にご満足いただくことがミッションになる」と述べ、安全確保に努めることを要望した。