旅行会社はDMOにどう関わるべきか-JATA経営フォーラム
地域におけるマーケティングの重要性を確認
旅行会社とDMOで観光資源の発掘を
着地型商品で旅行の「目的」を強化、滞在時間や消費額を引き上げ
三重交通の子会社の観光販売システムズは、全国の自治体向けに着地型商品のコンサルティングをおこなっているほか、受注・契約・手配・管理・精算業務を一元化した「観光プラットフォーム」を提供することで、旅行会社との橋渡しをおこなっている。観光マーケティング事業部行政・観光企画課課長の菅原礼司氏は、一例として「日光表参道おもてなしクーポン」の取り組みをアピール。地元の複数の商店と共同で制作し、旅行会社を通じて販売していることを説明した。
菅原氏は着地型商品の重要性について、「単純な観光旅行が『目的旅行』になり、誘客が期待できるだけでなく、他地域との差別化、滞在時間の延長も期待できる」と説明。その上で、既存の観光スポットを新しい切り口で見せる工夫が必要と指摘した。成功例としては、NHKの大河ドラマ「真田丸」で注目を集めた長野県上田市で観光タクシーを商品化したことを紹介。施設入館料やガイド料も組み込んだことで、地元への経済効果が広がったという。
東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道事業本部営業部担当部長の高橋敦司氏は、同社は乗客数世界一の輸送量を誇るものの、東北の人口が少ない地域については着地型旅行で観光客を呼び込む必要があることなどを説明。「切符を売るだけではなく、地域のスタッフを使って観光資源を開発するなど、泥臭いDMO活動をおこなってきた」と語った。
具体例としては、地域と協力してデスティネーション・キャンペーンを展開し、山形では美味とされる「朝摘みさくらんぼ」をテーマに旅行商品を企画したことを紹介。朝摘みのために前泊が必要となり、現地滞在時間も消費額も伸びたことをアピールした。