IATA、新流通規格「NDC」の利便性強調-空港に投資要望
国際航空運送協会(IATA)は、昨年9月に事務総長兼CEOに就任したアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック氏の来日に伴い、メディア向けのラウンドテーブルを実施した。ジュニアック氏は、航空会社がプロダクトや付帯サービスなどをより細分化して、直接旅行会社などに販売できる新たな流通規格「NDC(New Distribution Capability)」を紹介。さまざまな種類の座席や食事、サービスを利用者の細かなニーズにあわせて販売できることから、「GDSよりも選択肢が増え、豊かなサービスを提供できる」と強調した。
ジュニアック氏によれば、現在の全世界の航空券販売のうち、GDSを使った旅行会社経由による販売は7割、航空会社の公式ウェブサイトなどでの直販は3割。同氏は、将来的には旅行会社経由と直販の割合が5対5になる見通しを示した上で、旅行会社経由についてはGDSを利用するケース、トラベルポートのようにNDCに対応したGDSを利用するケース、NDCを利用するケースの3パターンに分かれるとの見通しを示した。それぞれの比率については「マーケットが判断すること」と述べるにとどめた。
IATAによれば、1月20日までにNDCを導入した航空会社はアメリカン航空(AA)、中国国際航空(CA)、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)など25社。会社によりNDCで販売するプロダクトやサービスは異なる。
ジュニアック氏はそのほか、日本政府が掲げる20年の訪日外国人旅行者数4000万人などの目標達成については「航空管制や空港インフラへの投資と、その計画作りが重要」と語った。同氏はその一例として、関空が今年1月に、IATAなどが開発した最新の保安システム「スマートセキュリティ」を導入したことで、利用者の満足度が高まったことを評価。羽田や成田にも導入が予定されていることを明らかにした。
また、日本の空港の利用料が減少傾向にあることを評価し、「関空と成田はこれまで利用料の高い空港のトップ10に入っていたが、それぞれ13位と23位まで順位を下げた」と述べた。ただし羽田については着陸料引き上げの動きがあることから「慎重に検討して欲しいと申し上げている」と伝えた。