新春トップインタビュー:OTOA会長 大畑貴彦氏
オペレーター規制で法的位置づけを明確に
下請法違反の「悪しき習慣」撤廃へ
2016年は1月に軽井沢で発生した貸切バス事故などを契機に、ランドオペレーターへの規制について議論が進み、法整備に向けた動きが活発化した。通訳案内士の規制緩和などの動きもあり旅行業界を取り巻く環境が変化するなか、ランドオペレーターは今後どのようにビジネスを展開していくのか。日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長の大畑貴彦氏に今後の見通しを聞いた。
-16年の振り返りと17年の見通しについてお聞かせください
大畑貴彦氏(以下、敬称略) 日本政府観光局(JNTO)によれば、2016年の出国者数は約1700万人で15年よりも若干増える見込みだ。しかし、出国者数が増えても旅行会社経由で旅行に行く人が減ってしまっている。ランドオペレーターは旅行会社から仕事を委託されているので、旅行会社が扱う仕事が増えることが我々にとって一番大切なことだ。
16年は欧州でテロ事件が発生し、多くの国で自然災害があった。今年もその流れは変わらず、そのほかにも感染症などの脅威があるだろう。ランドオペレーターにとって厳しい環境が続くなか、旅行者数が増えないのであれば、利益を増やすために旅行会社への提案などの中身を変えていく時代になってきたのではないか。
一方、訪日旅行者数はビザ緩和政策などの効果もあり、20年の4000万人という目標に向けて着実に増加している。しかし、ホテルやバス、ガイド、パイロットなどが不足しており、供給が追いつかず需給バランスが見えない部分もある。需要と供給のバランスがとれた成長が望ましいのではないか。
-ガイド不足については、今年は通訳案内士法が改正される見通しですね
大畑 通訳案内士法の改正により、通訳案内士とは別のカテゴリでガイドが出てくるだろう。今までのガイド不足が多少は改善されるのではないか。
そもそも海外ではツアーガイドと通訳は別のカテゴリの仕事で、ライセンスも分けられている。ツアーガイドは観光で、通訳は細かな日本語の知識が求められるテクニカルビジット関連で活躍しており、日本も同じようにすればよいのではないか。日本の通訳案内士の試験はハードルが高く、実態にあっていないように思う。
OTOA会員からは、日本人が海外で日本人のガイドに案内してもらいたいと思うのと同様に、訪日外国人観光客からも自国の人にガイドしてもらいたいという要望が多く出ているという話を聞いている。規制緩和で日本在住の外国人がもっとツアーガイドをできるような形になればよいと思う。