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16年の旅行業倒産は1件増の27件、昨年に続く低水準

  • 2017年1月15日

クリックして拡大  東京商工リサーチ(TSR)によると、2016年通年の旅行業の倒産件数は前年比1件増の27件で、微増したものの過去20年間においては前年に続く低水準となった。負債総額は34.9%増の38億1800万円。東日本大震災関連の倒産は2件だった。TSRでは、出国者数や訪日外国人旅行者が増加したことなどにより業績が回復したことなどが、低水準での推移につながったとの見方を示している。

 16年の倒産原因は「販売不振」が最も多く、23件で全体の85.1%を占めた。これに「赤字累積」による倒産を加えた「不況型倒産」は25件となり、全体の92.5%を占める結果となった。負債額別に見ると、1000万円以上が12件、5000万円以上が8件で、1億円未満の倒産が全体の74%を占めており、小規模事業者が大手企業との競合から倒産に至るケースが多く見られたという。

 負債総額が最も大きかったのは、10月に特別清算の開始決定を受けた東京都の第1種旅行業者のミュゼトラベルで5億2600万円。また、4月には東京都の第1種旅行業者の海外移住旅行社が破産開始決定を受けており、負債総額は5億円だった。

 12月単月の旅行業の倒産件数は前年の0件から1件に増え、負債総額は3100万円だった。倒産したのは長野県下伊那郡高森町のつかさ観光で、たかもり観光バスの関連会社として設立され、同社の観光バスなどを利用したツアーを販売していた。しかし2009年頃から需要が低下し、たかもり観光バスは車両の更新費用を捻出できなくなり、15年11月に破産を申請。つかさ観光は事業を継続していたものの、主力のバスツアーの営業が困難となったことで売上高が半減し、今回の措置となった。

 なお、16年の宿泊業の倒産件数は4件減の81件で、負債総額は20.0%減の431億6000万円。12月単月の倒産件数は4件増の12件で、負債総額は26.0%増の35億5400万円だった。宿泊業の詳細は別途記載(下記関連記事)。