ジカ熱、流行語候補も依然として認知度低く-世論調査
▽若年層への啓発が重要-東医大も意識調査
「ジカ熱に関して知りたい情報」については、「症状や感染経路」が57.7%、「最新の流行国・地域」が49.4%、「防蚊対策や蚊の発生を抑える対策」が41.9%、「気になる症状があった場合の対応」が31.8%、「海外渡航時に気をつけること」が27.7%となり、「妊娠した人や妊娠する可能性がある人が気をつけること」は19.2%にとどまった。「特にない」は8.7%、「わからない」は2.0%で、あわせて1割を超えた。
「国に望むジカ熱の予防対策」としては「検査法、治療法、予防法(ワクチン)の開発またはその支援」が66.4%で最も多く、以下は「蚊の駆除対策の推進」が48.7%、「広報・啓発活動を通じた注意喚起」が46.8%、「気になる症状があった場合の相談体制の充実」が38.0%となった。「妊娠した人や妊娠する可能性がある人の相談体制の充実」は21.0%にとどまった。
なお、ジカ熱については東京医科大学病院渡航者医療センター長の濱田篤郎氏などによる研究班も、8月に同様の意識調査を実施。「ジカ熱を知っている」と回答した人のうち、各年代(20歳代~60歳代)を同数に、男女比を1対1にした上で1000人に対してアンケートへの回答を依頼したところ、「流行を心配している」と回答した人は64%、「1年以内に国内でも流行すると思う」と回答した人は33%にとどまった。
感染経路については、ジカウイルスが「蚊が媒介する」ことを知っている人は84%と多かったものの、「性行為で感染する」ことを知っている人は34%と少なかった。また、「妊娠中に感染すると胎児に影響を及ぼす」ことを知っている人は70%に上ったが、国内流行が発生した場合に「女性は妊娠を避けた方が良い」と回答した人は44%だった。
対策については「日頃から防蚊対策をとっている」は79%で、具体的な方策としては「窓に網戸を張る」「殺虫剤を使用する」「昆虫忌避剤(虫除け)を使用する」が多かった。水たまりを作らないなど「蚊を増やさない対策」を実行している人はは15%に限られた。そのほか症状、検査、治療、予防などについて項目別に質問したところ、症状や国内での検査体制に関する知識が特に乏しかったという。
本誌の取材に応えた濱田氏は調査結果について「蚊がジカウイルスを媒介することを知る人は多いが、性行為でも感染することまで知る人は少ない。このことを、特に若い世代に向けて啓発する必要がある」と指摘。今回の調査結果をもとに、国内でジカ熱が流行した場合の情報の提供・共有のあり方についても検討する考えを示した。