サービス連合、16年春闘は49組合がベア達成、13組合の増加
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)によると、2016年の春闘では、前年から13組合増の49組合が実質的な賃金改善(ベースアップ、ベア)を達成した。このうち2年連続の改善を達成したのは28組合、3年連続は19組合。賃金改善については104組合が合意に至った。
要求書を提出したのは、ホテル・レジャー業が65組合、観光・航空貨物業が74組合の計139組合で、前年から16組合増となった。このうち賃金改善要求を実施したのは131組合で、このうちベア要求をおこなったのは97組合。一時金は業績連動制度の確認を含めて130組合が、最低保証賃金に関しては70組合が要求した。
同会では14年の春闘から、全加盟組合で賃金カーブを維持した上での0.5%以上のベアに取り組んできたところ。7月19日の会見で、サービス連合副会長で観光・航空貨物委員会委員長の長縄将幸氏は「(要求書を提出した)組合の5割以上が実質的な賃金改善を実現できた」と喜びを述べた。17年以降も引き続き、ベア達成に向けて取り組みを進めていく方針だ。
賃金改善要求における妥結額は、6月19日時点で集計できた44組合の平均が6383円(賃金改善率2.25%)となり、前年の6338円(2.15%、前年:45組合)を上回った。ベア要求は集計できた26組合の平均が1875円(0.64%)で、前年の2080円(0.70%、20組合)よりも下回った。
業種ごとの内訳では、ホテル・レジャー業で集計できた17組合の賃金改善額は平均5701円(2.37%)となり、前年の4687円(1.95%、14組合)を上回った。ベア要求は、集計できた11組合の平均が2547円(1.14%)で、前年の833円(0.26%、2組合)を大きく上回った。観光・航空貨物業で集計できた27組合の賃金改善額は平均6698円(2.21%)で、前年の6865円(2.20%、31組合)よりも減少。ベア要求は集計できた15組合の平均が1668円(0.53%)で、前年の2197円(0.75%、18組合)を下回った。
一時金に関しては、年間一時金で妥結した25組合の平均は3.35ヶ月で、前年の3.62ヶ月(前年:27組合)を下回った。業種ごとでは、ホテル・レジャー業12組合の平均は2.97ヶ月で前年の3.08ヶ月(10組合)よりも減少。観光・航空貨物事業13組合は平均3.70ヶ月で、前年の3.94ヶ月(17組合)を下回る結果となった。
夏期一時金は、集計ができた89組合の平均は1.66ヶ月で、前年の1.62ヶ月(85組合)を上回った。業種ごとでは、ホテル・レジャー業32組合の平均は1.35ヶ月で、前年の1.25ヶ月(29組合)よりも増加。観光・航空貨物業57組合の平均は1.83ヶ月で、前年の1.81ヶ月(56組合)をわずかに上回った。長縄氏は訪日旅行市場が好調だったことから、ホテル・レジャー業を中心に水準が上がったとの考えを示した。
このほか、契約社員やパートタイマーなどの賃金改善に対しては81組合が要求し、43組合が合意。さらに、産業別最低保証賃金では、60組合が合意に至った。総実労働時間の短縮に向けた取り組みについては、88組合が要求し、58組合が合意した。
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