現地レポート:南ア・ダーバンから訪れる大自然
クワズールー・ナタール州の多様な魅力
サファリやハイキング、リゾート滞在など
南アフリカ共和国のクワズールー・ナタール州には、ゲートウェイとなるダーバンの街をはじめ、ゲームドライブ(サファリ)ができる保護区や、ハイキングや狩猟採集民のサン族(ブッシュマン)が描いた岩絵を楽しめる世界遺産のドラケンスバーグ山脈など、同国の自然と文化を満喫できる素材が揃っている。今回は5月にダーバンで開催された、アフリカ最大のトラベルトレードショー「INDABA(インダバ)2016」のポストツアーに参加し、ダーバンを起点としたクワズールー・ナタール州のツアー造成の可能性を探った。
港湾都市ダーバン
2022年に向けてインフラも進む
インド洋に面した港湾都市、ダーバンは1年中ビーチで泳げるほど温暖なため、アウトドアを楽しむために他の都市から訪れる人が多い。ケープタウンやヨハネスブルグと並ぶ国際会議や展示会の開催地だが、ラグビーやサッカーのワールドカップの会場になったスタジアムなど、スポーツ施設も充実。2022年には、英国と旧英国植民地などの53ヶ国・地域からなる英連邦のメンバーが参加する、4年に1度の総合競技大会「コモンウェルス・ゲームズ」の開催が決まっており、これを機にホテルなどさらなる観光インフラへの投資が進むと見られている。
INDABA2016で取材に応えたダーバン観光局マーケティングオフィサーのシザ・ルツーリ氏は、街の魅力を「カラフルで豊かな文化」と明言。「本国以外で一番大きいインド人のコミュニティがあるほか、ズールー族の文化がダーバンの人々の食や洋服に反映されている」と話す。ダーバンのあるクワズールー・ナタール州は国内最大の民族であるズールー族が住むほか、英国統治時代の19世紀半ばに労働者として入植したインド人の一部がそのまま残った。そのため、街にはカレー用のスパイスを売るマーケットがあり、インド料理店も豊富。ダーバンで発達した「バニーチャウ」という、パンのなかにカレーを入れるオリジナル料理も名物となっている。
近郊には南アフリカ共和国の現代史を語る重要な博物館もある。市街地から車で20分の位置に、「イナンダ」というタウンシップ(旧黒人居住区)にマハトマ・ガンディーが設立した共同農場のフェニックス農場があり、インド人の地位向上を求めて新聞を作っていた家は博物館となっている。そこから車で5分の位置には、アフリカ民族会議(ANC)の初代議長であるジョン・デューベが黒人として初めて開設した学校、「オーランジェ・インスティチュート」があり、1994年に民主化後最初の選挙でネルソン・マンデラが投票した歴史的な場所として知られる。
ダーバンはクワズールー・ナタール州へのゲートウェイでもあるため、ルツーリ氏は「海外からの観光客には“ビーチ+バーグ+ブッシュ”の組み合わせをすすめている」という。ビーチはダーバンの街、バーグはドラケンスバーグ山脈、ブッシュはビッグ5(ライオン、ゾウ、ヒョウ、サイ、バッファロー)が見られるゲームドライブのことで、今回はまさにクワズールー・ナタール州の魅力を網羅する行程のポストツアーとなった。