政府、16年のアクションプログラム発表、ビザ緩和推進など
政府は5月13日の観光立国推進閣僚会議で「観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2016」を決定した。過去3年間にわたり毎年策定してきた「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」と同様に、今後1年間の短期的な行動計画を示したもので、3月末に発表した新たな中長期ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン-世界が訪れたくなる日本へ-」の策定を踏まえて、名称も一部変更した。
今回のアクション・プログラムでは、昨年のプログラムに盛り込まれた施策に加えて、3つの視点を柱とし10の改革を掲げた中長期ビジョンの施策をより具体化して盛り込んだ。一例として、ビジット・ジャパン事業の重点20市場のうち、訪日ビザの取得要件緩和を戦略的に実施するとしていた中国、フィリピン、ベトナム、インド、ロシアの5ヶ国については、すでに今夏までの実施を発表している中国に加えて、インドとロシアについても早期の緩和を実現することを明記した。
また、出入国管理上のリスクが少なく、頻繁に日本を訪れているビジネス客などの信頼できる渡航者について、20年までに自動化ゲートの利用開始を実現するため、制度を整備して16年中に導入することを説明。運用状況を検証しながら、対象者のさらなる拡大をめざしたいとした。
宿泊施設の供給促進については、引き続き民泊サービスのあり方に関する検討を進めるほか、宿泊施設の容積率緩和制度の運用を明確化する指針を策定して地方公共団体に通知することを明記。民間による宿泊施設の評価制度の導入についても、宿泊業界とともに取り組みを進める方針を示した。
公的施設の開放では、4月に一般公開を開始した赤坂迎賓館について、定員に関するルールなどを整備。定員を大幅に増やすほか、あわせて多言語音声端末の導入などで訪問者の利便性を高める。また、京都迎賓館などその他の施設についても積極な公開を進める方針。文化財については「文化財活用・理解促進戦略プログラム2020」を今年度当初に策定する。
20年までに訪日外国人の利用者数を年間430万人から1000万人にまで増やす予定の国立公園については、5園で策定する「国立公園ステップアッププログラム2020」(仮称)を、16年中に策定することを明記。そのほか、すでに方針を発表している新千歳空港の発着枠拡大などについても推進し、地方空港のゲートウェイ機能強化とLCCの就航促進に努める。
訪日旅行促進のための情報発信については、中長期ビジョンの策定後に熊本県などを中心とする地震が発生したことを踏まえて、新たな施策「風評被害を最小限に抑えるプロモーション」を追加。被災地域の安全性に関する正確な情報発信を継続し、自治体などと連携して、風評被害を最小限に抑えるプロモーションを実施することを謳った。