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民泊検討会、Airbnb「新ルールを」-宿泊団体は取締強化要望

  • 2015年12月14日

第2回検討会にはメディアをはじめ大勢の傍聴者が集まった  観光庁と厚生労働省は12月14日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第2回会合を開催した。同会合は自宅の一部や別荘、マンションの空室を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる「民泊」サービスの枠組みの構築と、ルールの制定などを検討するためのもの。今回はAirbnb、新経済連盟、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟を対象にヒアリングを実施した。

 Airbnbアジア太平洋公共政策ディレクターのマイク・オーギル氏は、民泊について「何らかのルールや枠組みは必要」としながらも、「自分の家を時々、短期間だけ貸すホストと、ホテルや旅館を同じ規制で扱うことは厳しい」と指摘。「ホテルのレセプションのように、リビングルームに24時間人を配置することは難しい」と語り、旅館業法とは異なるルールの必要性を説いた。また、現行の旅館業法については、1948年に制定されたもので今日の状況にはそぐわないとし、「アップデートが必要では」と語った。

 新経済連盟事務局長の関聡司氏は、約200万戸を民泊の宿泊施設として利用した場合、経済効果は10兆円台に上るとの試算を示し、経済効果の高さを強調。課題であるテロ対策や感染症の拡散防止、所得税や宿泊税への対応、周辺の地域住民とのトラブルの回避などについては、ホストや仲介業者への対応をルール化する必要性を指摘した。ルールについては、ホストが旅館業法の適用を受けないようにすることを提案し「ガイドラインなどによる、可能な限り柔軟な形での規律が望ましいのでは」と意見を述べた。

 一方で宿泊業者側からは、違法民泊に対する規制の強化や取り締まりを求める声や、課題の解決のために十分な議論と適切な措置を求める声が挙がった。日本旅館協会会長の針谷了氏は「ホームステイのような形の民泊まで、我々は反対するものではない」としながらも、現在の民泊については「空きマンションでの違法営業がほとんど」と指摘。「違法な宿泊施設を仲介しているサイトも問題だ」と非難した。また、経済効果については、空きマンションの宿泊施設としての利用を民泊として合法化した場合、中小規模の旅館が大きな影響を受けると説明。「中小旅館が打撃を受けて倒産する、逆の経済効果があることも考えて欲しい」と語った。

 このほかホテル不足については、訪日旅行者の需要が東京や大阪、京都など特定の都市に偏っていることから「地方分散の対策こそ進めるべきではないか」と主張。例えば京都では、紅葉シーズンでも近郊のホテルに空きがあると語り、周辺都市の空室情報を提供することで解消できると提案した。

 日本ホテル協会専務理事の宮武茂典氏は、マンションなどでホストが不在にした場合に、宿泊者がガスコンロなどの調理器具を使って火災を起こす危険性など、安全面に関する課題を指摘した。

 全日本シティホテル連盟会長代行の星野誠氏は、海外の業者がマンションの空き家を活用し、税金を支払わないまま未届けの民泊をおこなっていた例を紹介。明らかになっている例は「氷山の一角」であるとし、法律を順守して営業しているホテルや旅館の取り組みと比べて「非常に落差を感じている」と語った。また、衛生管理面については宿泊者が持ち込むスーパー南京虫を、ホテルや旅館では多額な費用をかけて殺菌している旨を説明し、民泊の施設で発生した際の対策をどうするのかが課題であるとした。

 このほか、会議ではマンション賃貸会社側がAirbnbに対し、ホストが空き部屋を「又貸し」している現状について指摘したほか、宿泊者の安全確保に対する取り組みなどについて疑問を呈した。オーギル氏は、Airbnbが全世界の3万4000都市で展開していることから「全施設をチェックすることは難しい」と語った一方で、「転貸には家主の同意が必要なのは当然であり、日本でも(民泊の)ルールとして加えるべきだろう」と述べた。また、安全性については、ホストの物件に損傷があった場合にAirbnbが最大1億円まで補償する「ホスト保証」や、対人・対物事故の損害賠償に対して最大100万ドルを補償する「ホスト補償保険」を提供していることを紹介した。

 なお、次回の検討会は12月21日に開催し、日本旅行業協会(JATA)や民泊事業を展開する「とまれる」の親会社に当たる百戦錬磨、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室などからヒアリングをおこなう予定。