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ニセコ町、インバウンドの取り組みとMICEの可能性

民と官が一体となり訪日外国人MICEに注力

外国人にも好評の農業体験、地元生産者とのふれあいも

ファムツアーでは鮭の遡上の様子を見学。放流した稚魚の1割ほどしか戻ってこないそう

 施設と同じく、MICEにとって決定的に重要な要素がアクティビティだが、ニセコでは北海道ならではのものがそろっている。例えばアイスクリーム作り体験はチームでマーケティングから商品のプレゼンテーションまでおこない、プレゼンで発表したアイスを作る。そのほかには雪崩が起きたことを想定し、ビーコンを使ってチームで遭難した人を探すなど、ニセコならではのチームビルディングが体験できる。

 また、ラフティングやカヤック、マウンテンバイクなど夏のプログラムも充実しており、なかでも今回のツアーで参加者の人気を集めたのは農業体験だ。農業や酪農、漁業の体験アクティビティを提供する有限会社マルベリーは生産者と直接契約し、教育旅行を中心に年間約8000名を受け入れている企業で、ツアーでは契約農家の1つである三浦農園に案内してくれた。

三浦農園の「らんこしメロン」。蘭越米の米ぬか、稲わらを利用した有機肥料で栽培している

 ここではメロンと米を生産しているが、今回はメロンを試食。このメロンは糖度が非常に高く、有名な夕張メロンが出荷を許される糖度は11度からだが、三浦農園で生産するメロンは16度。化学肥料は使用せず表皮の網目の細かさまでこだわっていることも特徴だ。

 団体旅行の受入時には4人1組で収穫などを体験することができ、英語での案内も可能。メロンの表面に企業のロゴマークをかたどってプレゼントするといった演出にも対応できる。スキーやラフティングなど身体を動かすプログラムと異なり、誰でも楽しめる点はメリットだろう。

三味線や羊蹄太鼓など伝統的な演出も可能

 マルベリー代表取締役の松橋秀人氏は同社が提供する地域産業体験について、「自然の魅力を伝え、生産者の思いを知ってもらうことにもなる」と意義を強調。現在は教育旅行が中心であるものの、「今後は訪日客へも積極的にアピールしていきたい」との考え。農業体験以外でも、 訪日MICEで2000名のグループに地引き網体験を提供したこともあるという。

 なお、北海道といえば酪農だが、「国によっては疫病の検疫の問題もあって実現できていない」ことが課題。とはいえ、松橋氏はこの体験プログラムの販売にも意欲的で、農業や漁業を含めて旅行会社へのコミッションも用意しており「どんどんお客様へ提案してほしい」と訴えた。

取材協力:ヒルトンニセコビレッジ
取材:本誌 大宗憲知