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タイ、16年は消費額増へ、体験を訴求-バンコク爆発事件に懸念も

  • 2015年8月20日

▽バンコクの爆発事件の影響懸念、旅行業界、現時点で「目立った影響はない」

 また、ナチェンマイ氏は、現地時間の17日と18日にバンコクで発生した爆発事件の観光に対する影響に懸念を示した。同氏によれば今年の1月から6月までの日本人旅行者数は前年比16%増、6月単月では28%増と順調に推移していたが、今回の事件により学生旅行を中心とした団体などでキャンセルが発生しているという。このため、15年の日本人訪問者数の目標は139万人としていたが、犯人逮捕などにより事件が落ち着いた時点で、目標は見直す考え。16年の目標についても「現時点では150万人」と述べるにとどめた。

 ナチェンマイ氏は「14年の反政府デモよりも、今回の方がインパクトは強い」との見方を示した。反政府デモは政治的な問題によるもので、観光客に被害を与えるものではないが、今回の爆発事件は直接観光客に被害があり、死傷者が出たためだという。しかし、影響はデモのように長引かず、犯人逮捕などで「短い期間で終わる」見込みだ。

 バンコクの現状については「すべて通常通り」であるとし、公共交通機関やホテル、デパートなどの店舗も通常営業していると説明した。また、TATによると、タイ警察では主要な観光地や空港、バスターミナルなどの警備を強化。加えて、負傷者やその家族などへの支援策として、病院でのボランティア通訳の手配や24時間のホットラインの提供、事件対策専用のセンターを開設して情報提供やサポートなどをおこなうなどしている。

 今後はソーシャルメディアを活用し、現地の最新情報を幅広く訴求していく。事態の収束後は旅行会社やメディア向けにタイでイベントを実施。こうした取り組みを通し「(旅行者の)タイへの信頼を回復していきたい」考えだ。旅行会社各社に対しても、引き続き送客への協力を求めていくという。

 旅行会社各社によると、爆発事件のツアーへの影響は限定的だ。本誌がジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、東武トップツアーズにおこなった聞き取り調査では、ツアーのキャンセルが多少発生している会社はあるが目立った動きではなく、あまり影響はないとの回答がほとんどだった。各社とも取消料の収受は通常通り実施。ただし、今回の事件を契機にした今後の予約の減少や、団体、業務渡航への影響を懸念する会社もあった。

 また、日本航空(JL)、全日空(NH)、タイ国際航空(TG)へのヒアリングでも、目立ったキャンセルはないとの回答だった。日本/タイ線も通常通り運航。JL、NHについてはキャンセル対応などは通常通り対応中だ。今後は事件の動向を注視し、変化があれば対応を変更する可能性もあるとした。一方、TGは8月17日まで日本で発券された、8月18日から9月18日までの予約を含む航空券について、1回のみ同額運賃・同予約クラスでの日時や経路変更、交換発行を受け付ける。変更に伴う運賃差額や空港使用料などは別途徴収する。払い戻しは通常の運賃規則に従うとした。