タイ、16年は消費額増へ、体験を訴求-バンコク爆発事件に懸念も
タイ国政府観光庁(TAT)東京事務所所長に8月に就任したパッタラアノン・ナチェンマイ氏は8月20日、業界誌などの取材に応え、2016年の方針として「旅行者数といった数値を求めるより、(消費額や滞在日数などの)質を求めていきたい」考えを示した。
TATによると、日本人旅行者の14年の消費額は、1回の旅行あたり3万7683バーツ(約13万1000円)。現在の平均滞在日数は約7.8日だ。ナチェンマイ氏は「滞在日数を伸ばせば消費額は増えるが、1日伸ばすのは難しい。まずは旅行中のアクティビティの利用増に焦点を当てていきたい」と語った。タイ料理作りやゴルフ、スパなど「タイらしさのある体験」をアピールすることで、消費額の増加に繋げたい考え。15年は3万9411.76バーツ(13万7000円)の達成をめざす。
また、16年はファーストタイマーの増加にも取り組む。タイを訪れる日本人旅行者のうちファーストタイマーとリピーターの比率は3対7。「この3割を4割にするのが1つの課題」だと言い、OLを中心とした女性層、学生などの若者、ゴルフなどのスポーツ、アクティブシニアが中心のロングステイの4つのセグメントを設定し、プロモーションを展開していく計画だ。
なかでも特に注力するのは、日本のみならず全世界的に強化しているという、女性層。タイでの「リラクゼーション」をテーマに、スパやマッサージなどのアクティビティやショッピングを訴求していく。
一方、リピーター層については訪問先の多様化と、タイでの「学び・体験」をアピールしていく。具体的には、日本人の主な訪問先であるバンコク、プーケット、チェンマイ以外のデスティネーションへの誘客をはかる。ナチェンマイ氏は、チェンマイからチェンライやランプーン、ランパーン、プーケットからクラビ、カオラックなど「周辺の都市へも足を伸ばしてもらいたい」と語った。また、アクティビティについてはタイ料理作りや藍染めなどをピーアールしていく。
このほか、同氏は克服すべき課題として、日本/タイ間の航空座席の供給量について言及。タイからの訪日客が急増し、PEX運賃が増加するなか、団体の席が取りにくくなっていることを問題視した。あわせて、国土交通省が現在、タイ国籍の航空会社の増便やチャーターを規制していることについても懸念を表明。ただし、就航実績がある路線や機材についてはチャーター便の運航が可能であることから、タイ国際航空(TG)による日本各地からのチャーター便運航の可能性があることを示唆し、期待する考えを示した。
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