JATA、PEX・旅程保証約款は「大きな進歩」-10月1日から適用
日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏は7月9日の定例会見で、このほど個別申請により新たに認可されることとなった「募集型ペックス約款」「旅程保証約款」について「大きな進歩」であると喜びを示した。
JATAでは標準旅行業約款の改正に関する取り組みとして、取消料や変更補償金の支払要件の見直しを要望し、観光庁、消費者庁と旅行産業研究会を開催するなど活動を進めてきたところ。JATA法務・コンプライアンス室室長の堀江眞一氏は、標準旅行業約款に組み込むことをめざしてきたが、消費者庁側の理解を得ることが難しかったこともあり、個別認可にしたと説明。各旅行会社が積極的に利用することで「次の改正議論のとき、世の中にすでに定着している、という主張が可能になるのでは」と今後の動きに期待を示した。
2つの約款の対象は国内、海外の募集型企画旅行。募集型ペックス約款は、日本発着時に使用するPEX運賃やLCC運賃などの取消料が標準旅行業約款で規定する取消料の額を超える場合、該当航空運賃の取消料を募集型企画旅行の取消料として設定できるもの。利用の際はパンフレットなどの取引条件説明書面に、PEX運賃などの利用を明記し、航空会社名と運賃種別、取消料の合計額と確認方法、海外旅行保険で旅行変更費用担保特約への加入案内などを掲載する必要がある。
また、旅程保証約款は、ホテルリストを取引条件説明書面に記載した上で同リスト内で宿泊施設をアップグレードする場合を、変更補償金の支払いの対象外とするもの。発効日が記載されたホテルリストを消費者に事前に渡す必要があり、ウェブ取引の場合はウェブサイト上で提示することが条件。両約款ともに8月1日から行政庁で受付を開始。10月1日以降に締結する企画旅行契約から適用する。
堀江氏は募集型ペックス約款について、消費者の多重予約を防ぐとともに、旅行会社が今まで負担していたPEX運賃などの取消料負担の軽減をはかることが可能になるとメリットを説明。「キャンセルをしない、本気で旅に出たいお客様が予約できる」ようになると語った。また、旅程保証約款については、日本の規制の厳しさから、海外の宿泊施設が日本の旅行会社を敬遠し、中国や韓国などの旅行新興国に部屋を提供する「手配負けを防ぐ」ことが可能になると語った。
また、越智氏は旅程保証約款に対して、海外でも積極的にアピールしていきたい考えを示した。旅程保証については海外の宿泊施設から「厳しすぎる」「現状の制度にそぐわない」との声が挙がっており、2013年には欧州ツアーオペレーター協会(ETOA)が、旅程保証の非合理性などについて書面で指摘していた。越智氏も「アップグレードで変更補償金を払うのは過剰な消費者保護という意見を、文書で海外からいただいている」と説明し、欧州のツアーオペレーターに対し、1つの解決策として伝えていきたいと話した。
なお、JATAでは全国旅行業協会(ANTA)と共催で説明会を実施する予定。7月13日に大阪で、7月15日と8月6日に東京で開催する計画だ。