豪州70万人へ、座席増など追い風に-各州に聞く現状と戦略
新規就航も積極誘致、業界向け活動の強化も
▽ノーザンテリトリー
ノーザンテリトリーは、年間で平均2万人程度の日本人が訪れているが、その9割以上がウルルのみを訪問。この割合は他国の市場では半分以下であるといい、日本においてはアリススプリング、そしてトップエンドなどへの分散が連年の課題。
ノーザンテリトリー政府観光局の中村滋氏によると、まずはウルルについてキングスキャニオンなど周辺との組み合わせを提案。また、ウルルの登頂確率が5割を切る中で、ラクダからウルルを眺める体験も打ち出す。トップエンドについては、例えばカカドゥの魅力を紹介する考えで、すでに2014年にはJLやマレーシア航空(MH)と共同セミナーやFAMツアーを実施。商品化もされているという。
また、消費者向けにウェブ媒体での露出も続けており、直近では本局が作成した動画を活用。動画は日本語のナレーションと字幕によってローカライズし、掲載するページからのリンクによって旅行商品の販売につなげる考えだ。
▽南オーストラリア州
南オーストラリア州は日本市場からの誘客について積極的な活動をしていないが、これは局自体の予算が6年連続で削減されているためで、特に昨年は3割も削られてしまったという。
南オーストラリア州政府観光局のマイケル・シーリガー氏によると、日本人は現在も年間7000名から8000名が安定的に訪問。今後も表立った活動はできないものの、旅行会社やメディアからの問い合わせなどに対して「できる限りのことをしていきたい」考えだ。
▽タスマニア州
南オーストラリア州と同じく日本に担当者を置いていないタスマニア州。2014年の日本人訪問者数は6200人と推計され、これも南オーストラリア州と同様に安定している。
同州政府観光局のガイ・タイラー氏によると、現在はメディアの取材旅行への協力や、写真家の相原正明氏との提携などによって日本への情報発信をしているところで、旅慣れた旅行者へのアピールを続ける。
もちろん、QFが就航したブリスベンはタスマニアへの国内線も運航されており、波及効果にも期待。州内で醸造されているウィスキーやゴルフ、自然、ラグジュアリーな宿泊施設といったテーマを打ち出し、コンスタントな誘客につなげていく。